週刊柏﨑 第341回_ゾーンとは
緑の色が本当にまばゆい季節になってきました。京都はご存じの通り、四方を山に囲まれて盆地であるのですけれど、京都市の北部になればなるほど、山が近く見えてきますので、より一層それを感じる訳です。週半ばにやけに肌寒いなと思っていたら、群馬などの日本のあちらこちらで結構な雪が降っている模様です。値段がようやく落ち着いてきた野菜も、再びとんでもない値段になるのではないかと心配しています。皆様お元気にお過ごしでしょうか?
週末より京都の三大祭りのひとつ、葵祭りが開催されます。平安期の優雅な古典行列は、当時の平安貴族そのままの姿で列を作り京都御所を出発し、総勢500名以上の風雅な行列が下鴨神社を経て、上賀茂神社へ向かいます。ちなみに葵というのは、ウマノスズクサ科のフタバアオイという植物で、水戸黄門のクライマックスに格さんが出す印籠に印されている「三つ葉葵」と同じ葵です。私が下鴨神社で観た「双葉葵」、はっきり言って「ドクダミ」と間違えるほど、両者はよく似ています。
このところ、日本の政治は混迷を極めています。とにかくマスコミの民主党叩きには個人的には辟易しているのですけれど、民主党自体もなんだかなぁという感じがある訳です。なんか新聞を見ていたら、元自民党の党員だった議員が共産党に入ったと載っていて、まぁ驚いてしまったのですが、元民主党の現役参議院議員が幸福実現党入りと聞くと、なんでも有りでしょうと思ってしまうのです。その上、ヤワラちゃんや元巨人軍の堀内氏や中畑氏、そして三原じゅん子氏なんていう参院候補者。もう洒落としか思えません。
それにしても、第三極としてみんなの党の渡辺喜美氏がテレビに出まくっていますが、みんなの党は確実にマスコミ・メディアの全面支持を受けているようです。それにしても、舛添氏・与謝野氏は全く話を聞かなくなってしまいましたが、夏場にはイギリスのように訳のわからん連立内閣ができるのかな、と考えています。
多分絶対に与党・野党を問わず、引っ張りだこだったことが予想されるQちゃんこと、高橋尚子さんの辞退は本当に賢明であったと思います。
週初めより九州に出張していて、昨日帰ってきました。少々疲れ気味の柏﨑でございます。
さて、皆さんは「ゾーン」という言葉というか状態をご存じでしょうか? 5月2日のゴルフトーナメント・中日クラウンズの最終日、あの石川遼君が58(12アンダーパー)という奇蹟的なスコアを出して逆転優勝しました。この遼君のパフォーマンスというか状態を「ゾーン」というのだそうです。「ゾーン」というのはスポーツ選手などが、最高のパフォーマンス(成績)を生みだしたときの主観的体験のことで、リラックスしながら最高に集中した心理状態を指すものであります。
あの遼君の優勝の後に、週刊誌やスポーツ紙などでこの「ゾーン」という言葉を目にすることが多くなりました。
緊張はし過ぎてもいけないのですが、さりとて緊張が足りないのもいけません。「ゾーン」に入れば人は完全に没入し自己は解放され、周囲の状況から切り離されるそうなのです。昔、巨人軍の川上選手が「ボールが止まって見えた」と言った言葉が有名でありますが、まさにその状態、要するにどんなボールでもホームランやヒットに出来るような気持ちをもつ時を「ゾーン」と呼んでいるのだと思います。多分この時、遼君は「このパット入れたら12アンダ―だ」とか「優勝できるかもしれない」とかいう俗的なことは頭に浮かばなかったと思います。
宗教チックになりますが、よく言うところの「無我の境地」。煩悩を滅して心の汚れをなくし、心から体の五感に何かが流れ入る、それを「ゾーン」というのです。昨年のワールドシリーズの松井秀樹選手や、今の中日の森野選手や和田選手もこの「ゾーン」に近い状態なのかも知れません。「ゾーン」という言葉は、このようにスポーツの世界ではしばしば使われます。
しかしながら、私は「ゾーン」に入るのはスポーツ選手だけではないと思っています。例えば、音楽や美術などに携わる芸術家や学者さんなども、「ゾーン」に入ることが認識できる職業であります。指揮者などは、あれだけ沢山の楽器が同時に音を出しているオーケストラを指揮していて、わずか半音の音のずれを聞き分けると言いますから、まさにこの「ゾーン」状態でなければ無理だと思いますし、ノーベル賞を受賞するような学者や作家は、「ゾーン」状態であるから歴史に名を残す発明や作品を考えることが出来るのです。
まあこれば「ゾーン」と呼べるかどうかは解りませんが、私が出演させていただいているQVCのオンエアのときも、自分では解らない「ゾーン」状態を感じる時があります。同じ価格、同じセットで販売しても、売上が全然違う時があるのです。
まぁ、以前にもこのコラムで書きましたが、放映時間というのも売れ行きの大きな要因なのですが、それでも番組中の雰囲気が違うと感じることがあるのです。私はオンエア中、大体同じことを言っていますので、そう考えると私が「ゾーン」に入っている訳ではなく、その番組をご覧になっているお客様が「ゾーン」に入っているのかもしれません。こういった時は、私がテレビ内で何か起こったか解らないような表情をしていますので、おわかりになるかもしれません。とにかく共通しているのは、「もう一度出来るかと言えば、分からない」し、「自分でゾーンに入れるものでもない」ことだと思います。
実は私、ゴルフでこの「ゾーン」に入ったことがあります。今をさかのぼること約20年前になりますが、香港に駐在していた頃、クリアウォータークラブでとにかくパットが入りまくったのです。もう10メートルだろうが5メートルだろうが、スコンスコン一発で入ってしまうのです。本当にホールからカップにまで、線があってそれが見えちゃんです。確か18ホールで25パットくらいだったのではなかったのでしょうか。でもでも、私はトータルスコアで100以上叩きました。今思ってみてもなぜなんだろうな~