週刊柏﨑 第363回_真のリーダーシップ

何回もこのコラムで書いてきたのですが、今年の夏の暑さは尋常ではなかった訳で、知り合いの人と会った時の挨拶は「暑いですねぇ~」というのは、私だけではなかったと思います。まあ、この猛暑について地球温暖化というものが原因というのでしたら、それはもう間違いないと思うのですが、それでも地球温暖化といっても年がら年中、暑いということではなく、やはり日本には四季があるのであって、確実に寒くなってきているのです。
しかしながら考えてみると、あの激夏というか猛暑がいつ頃終わったかと言われると、ちょっと首をひねってしまうのです。まあ、夏の終わりというのは、夕方にカナカナとひぐらしというセミが鳴いて、「あれっ、そういえばアブラゼミとかクマゼミの声が少なくなったな」と感じたりして、その上に「暗くなるのが早くなったんじゃね」と思ったりして、そして残暑を織り交ぜながらだんだん秋になっていくというパターンであったような気がします。それがなんか朝に犬と一緒に表に出てみると、「いきなり秋~」という感じで、この頃は「もう冬なんじゃね」という陽気であります。そういえば、家の近所ではこの夏、「アブラゼミ」も「ひぐらし」も「ツクツクボウシ」も一緒に鳴いていました。自然界というものが不自然に感じられることが自然になっていく訳のわからん世の中であります。
皆さん、お元気でお過ごしでしょうか。
今週、南米チリの銅鉱山の落盤事故で、700m地下に閉じ込められた作業員33人が無事救出されました。作業員は約2ヶ月に渡って穴の中で生活したのですが、ニュースでの救出現場を観る限り、全員こぎれいでほとんどの人がヒゲまで剃っていて全員元気そうでありました。この約2ヶ月間の生活は、いわゆる極限状態であったと推測されます。しかしながら、報道されている通り、この作業員のリーダーのとったリーダーシップは、称賛に値することであると思います。食料や飲料水を公平に分けるだけでなく、一日の摂取量もきちんと決めるなど統括のとれた行動をとったのです。特に私が感心したのは、このリーダーが全作業員に各自仕事を与えたことです。こんな極限状態なのですから自暴自棄になることもあるでしょう。なんせ一日の時間感覚も失うのですから、しかしながら仕事をすることが一日にメリハリを与え、生きるサイクルを作ったのです。仕事をちゃんとすることは必要なんですよ。老化の防止はどんなことでも時間を決めて、目標を設定して何かをすることであるのです。妻や子供達からは「自分も見習えよ」ときつく言われた柏﨑でございます。
こういうしんどい状況の中で、やはり必要なものはリーダーシップであります。近い将来、この作業員のリーダーは政界に出るような気がします。変わって日本のリーダーに関しては、目を覆いたくなるような状況であるのです。今週日本では、国会で衆参予算委員会質疑が行われています。与党・野党ともとても今のしんどい状態を理解しているとは思えない不毛の言い争いをしています。そして、日本のリーダーにはとってもリーダーシップがあるようには思えないのです。チリの作業員リーダーのツメのアカでも煎じてお飲みになったらいかがでしょうか。というか、このリーダーの「ツメのアカサプリ」を作ったら世界各国でバカ売れ間違いないでしょう。
さて、「民意」という言葉をよく目にするようになりました。「民意」とは即ち国民の意見であります。この民意という言葉が最近、国民をある方向に誘導することに使われると感じることがあります。私達の業者がよく使うアンケート調査、例えば、「この商品をどうおもいますか?」というようなアンケートに対して、だいたいが「とっても良いです!という方が○○%もいらっしゃいます」という結果を表記されているのをよく見かけますが、これについても、そのアンケート結果が販売者にとって万が一好ましくない結果となってしまった場合、そんな悪い結果をそのままお客様に好評する事は考えられません。だって商品のイメージが悪くなりますから。我々の通販業界ではよくみられる光景です。(ウチはちゃんと商品を使っていただいているお客様にハガキやFAXでいただいたアンケート結果を使っていますよ!!)
今の日本の世論調査の結果、いわゆるマスコミやメディアが主張する民意というのも、このアンケート調査、要するに商品の使用者の民意でありますが、自分たちに都合が良く作ったとしても、もし商品に何の魅力も無ければ、それはおのずと人気が無くなってしまい、そんなことを平気で言っている人間の信用も無くなってしまいます。しかしながら、マスコミやメディアに関しては、その話題の目先や誘導対照を変えることによって、「そんな話もあったね」と、自分たちが発信した情報を葬ってしまうのです。また、マスコミやメディアは、ある局は民意が大切と叫びながらも政治の在り方を大衆迎合だと評価をします。
しかしながら、民意の尊重と大衆迎合ということのどこに違いがあるのか私にはわかりません。民意というのは、非常に大切なことだと思いますが、それを私達無知な人間の意志の誘導にはしてほしくありません。そもそも、民意というのはころころ変わりますし、国民が知っている様々な情報などたかが知れているのですから、まあですからこそ、マスコミやメディアにいいように操られてしまうのでしょう。民意に祭り上げられた代表は小泉純一郎氏であり、民意に抹殺された(多分)小沢一郎氏であると思います。
政治というのは、人気投票ではありません。印象で政治家を選ぶことはしてはいけないと思います。小沢氏が福山雅治さんのようなルックスだったら、私はこのようなことにはなっていなかったと思うのです。数少ない約束を守る政治家として私は期待をしている名古屋市長の河村たかし氏でありますが、先日、市議会のリコールの市民署名を46万件集めたそうであります。今の政治家を考えれば、当然の結果であったと思います。しかしながら、この民意の支持ということは、使い方を間違えるととても恐いことであると思います。多分今のような閉塞感が高まっている状況下に民意の熱狂的な支持を受けて誕生したのが、ナチズムであったのです。マスコミやメディアというのは、このようなリスクに対する抑止力として働くものであります。それは決して自らに都合よく情報をたれ流すものではありません。

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