週刊柏﨑 第654回_イギリスのEU離脱について。
今年の梅雨は、梅雨らしいと言っていたら、いきなり週初めから例年のゲリラ豪雨が全国各地を襲いました。ただでさえ、地震で
地盤が心もとない熊本や大分では、土砂崩れの被害が続出しているようです。熊本では市内北部で6人もの犠牲者が出た模様です。例えは悪いですが、正に泣き面に蜂の状況であります。国として迅速な対応が求められますが、国政選挙や都知事の辞任でそれどころでは無いようです。まあ、困っている国民を救えなくて、何が安保だと思いますが、熊本の皆さんは、何卒ご無事でありますよう、早めに避難して下さい。関東では、大雨に加え、突風の為に、建物が吹き飛ばされていて、これはもう台風と言っても過言ではありません。日本中、もう絶対に安全という処が無いといっても可笑しくありませんな。
皆さん、お変わりなくお過ごしでしょうか。
京都市内では、早くも祇園祭の準備が始まっています。祇園祭は京都3大祭りのうち一番の人出となります。京都に移り住んで20年近くになりますが、私は行ったことがありません。参議院選挙が公示されたんですが、割合静かですな。国民が一番心配な日本の景気なんですが、異次元緩和をして、それでもダメだからと追加緩和やってそれでも未だダメで、掟破りのマイナス金利までやっても、消費税増税を出来ない位不況です。だから、前に書いた通り、消費税を8%に上げた時点で、アベノミクスは失敗だったのです。はっきり言って、ここまでやって後はどうしたらいいかなんて、誰も分かりません。少なくとも、責任者の安倍首相は、今の日本の状態を鑑み、アベノミクスの失敗を認め、方向性を変えるべきだと思います。その時、時で変わる指標の良いところだけアピールすることや、前政権を引き合いに出して前政権を貶すことで、果たして国民をごまかすことが、正しいか考えるべきです。一つだけ言う事があるなら、現状は今迄10年間で今が一番苦しい状況であるということです。要するに、金融政策では、実体の経済を良くすることは出来なかったのですね。それに、冷静に判断して、今の安倍首相の言動や態度が少々常軌を逸していると感じるのは私だけではありません。相手の質問に全く関係のないことを延々と話したり、気に食わないことにいきなりキレたり、「この人、本当に大丈夫?」と思う事が多々あります。
さて、懸案のイギリスのEU離脱についての国民投票の結果が、今日の午後に結果が出ました。な、なんと、あっと驚く為五郎(古い)イギリスのEU離脱が決まりました。事前の予想では、残留と離脱、拮抗はするものの、いい格好しいのイギリスでありますから、最後はなんだかんだ言っても残留になるだろうというものでした。実際、この国民投票の前日でも世界の株価や為替は、ほぼ残留するのを織り込んだ動きをしていました。ところが結果は離脱、相場というものは、こういった思いもよらないことに転ぶと、大きく動くのが通例です。離脱が優勢と報道された瞬間に、日経ダウは暴落し今の処1300円を超える下げで15000円を下回りました。為替は、なんと100円を割って99円台という円高です。ニュースでは、イギリスのEU離脱によってリーマンショック級の混乱が起きると報道しています。ある意味、サミットでの安倍首相の危惧は、的は違いますが当たっていたのかも知れません。今回、大方の予想に反して離脱となったのは、この国民投票が思いのほかイギリス国民の関心が高く、投票率が非常に高かったのが大きな理由であります。ここで、皆さんに何故今、イギリスのEU離脱の国民投票があったかというのを説明したいと思います。かつての世界の覇権国であるイギリスは、今は産業的には見る影もないよう状態でありまして、現在イギリスを支えているのは、ロンドンのシティーと呼ばれる世界の金融経済の中心地に集まるお金とそのファイナンスの力を必要とする為にEUの拠点としてイギリスにオフィスを構える世界の大企業であります。イギリスは通貨として他のEU諸国とは異なり、ポンドという自国通貨を使っていますが、基本EUに加盟することにより通商面や外交面では関税や人の行き来などでEUの恩恵を受けている訳であります。ですから、イギリスがEUから離脱するということは、EUの恩恵を手放すことであって、そうなるとこれら金の成る木を失う可能性が高く、まあ、それなら残留でしょ、という感じであったのです。ところが、ここで問題が生じます。この問題というのは、もうアメリカや日本、ドイツなど経済大国に共通するものです。世界の冷戦が終結した結果、世界の各国では大きな貧富の格差が出るようになりました、また中東やアフリカ、東欧などでは、内乱が起き、国内情勢が危うくなっています。その結果、そういう地域では多くの難民が発生する原因となっています。今迄、アメリカやドイツ、イギリス、フランスなどの大国は自国のことはさて置いて移民を受け入れたり、内乱に参加して、大国の義務を果たしてきたのです。しかしながら、近年、世界経済は低迷し、大国といえどもそんなお金もリスクも負う事が出来ないようになってきたのです。自国民が貧困や危険にさらされているのに、なんで赤の他人を救うのにお金を負担し、戦わなければならないか、そういう内向きの考え方を多くの人が持つようになってきたのは、まあ当然なことかも知れません。何故、泡沫候補だったトランプ氏やサンダース氏がこんなに支持を受けているか?正に、それが答えなのです。イギリスにしても、そんなEUでいる恩恵を投げ売っても、離脱を計るか?それはEU内であれば移動が自由であることで、貧困が激しい東欧からバンバン移民が入ってきて、そこでイギリスの税金を使い失業手当や医療費を得る、また、たださえ仕事が少ないのに低賃金で仕事を奪っていき町がスラム化していく、その我慢が限界にきたからこんなことが起きてしまうのですな。当然、キャメロン首相などの現体制は、残留を望んでいたはずです。しかし、今回、予想外の離脱という結果が出たのは、国民投票の投票率が高かったのが原因であり、いつもは投票に行かない、所謂無党派層が投票に行き、離脱に入れたからです。世界的に世の中の流れは確実に変わっています。それは、世界の既得権益を得ている支配層に一般国民はうんざりしているということです。アメリカもトランプ氏が大統領になる可能性はありますよ。それでは気になる日本への影響でありますが、私達一般ピーポーには殆ど影響はありませんね。対応に追われるのは、大手金融機関とロンドンに拠点を持っている大企業位です。しかしながら、離脱と言ったって明日から全部変わると言う訳ではありません。まず、英国側とEU側の話し合いでしょう。かと言ったってイギリス側の代表はキャメロンさんなどの残留派でありますから、当然選挙が必要でしょう。それと離脱派だって、移民は嫌だけどEUの恩恵は残したでしょうし、もしEU側が通商政策などを変えなければ、この離脱問題も世界経済には殆ど禍根を残さず終わると思います。ただ、EU側としても、イギリスのいいようにしてばかりいると、第2、第3の離脱国が生まれる可能性が高く、そうそう上手く収まるとは思えませんな。日本として、一番危惧することは、株式市場の暴落であります。前にも書きましたが、安倍首相はあれだけ世界経済に危機感を持っていると言っていたのに、平気で何十兆円にもなる私達の大切な年金の掛け金を株式相場につぎ込んでいます。安倍首相が信じられないのは、アベノミクスの成果を国民にアピールするために、年金基金を使って株高を演出していたことでありまして、元株屋として、それだけは絶対してはいけない事とこのコラムで再三申し上げてきました。私の経験上そういう本来の投資目的を逸脱しますと、殆ど場合、思惑は逆にいくものです。このまま、株価が大きく値を消していくことにより、私達の年金は確実にカットされていくことになります。世界中が人の心配をするより、自分の心配をするという内向的な考えを持つようになったのに、相変わらず我が国は、アメリカの顔色を窺い、日本国民の生活なんて殆ど顧みられていません。まあ、それでも今の政治を支持するのは各々の勝手でありまして、今の処どうすることも出来ません。それでもアメリカやイギリスは確実に変わってきていることは間違いなく、日本が気づいた時はトンデモナイことになっているのでしょう。グローバリズムという今迄の考え方が終わったことは確かですね。これからは、民族アイデンティティーの時代です。当面、イギリス通貨ポンドに対して円は高くなります。私達にとっていいことは、ダイソンの掃除機が安く買えるかもしれないことですね。