週刊柏﨑 第290回_世襲と責任

未曽有の大不況の中、ゴールデンウィークが終了しました。今年は高速道路の千円均一や新型インフルエンザの影響で、国内旅行が大変にぎわったという話なのですが、京都は例年と比べて旅行者が少なかったような気がします。京都の観光スポットを全て観て回った訳ではありませんが、確実に京都の交通渋滞は少なかったと思います。私の周りでも、千円均一を利用して四国へ渡った人が何人かいましたが、たいていはどこにも出掛けない人の方が多かったようです。それにしても、新型インフルエンザで日本てんてこ舞いだったようですが、アメリカ在住の知人の話では、アメリカでは報道はそれなりにあるものの無関心な人がほとんどだったようです。「なったらなったで仕方がないでしょ~」というアメリカ人の感覚は「その日暮らしの、借金漬け」というアメリカの今の立場を如実に物語っていると思います。普通のインフルエンザだって処置次第では十分恐ろしい病気であることを認識すべきです。
皆様お変わりございませんか?今年のゴールデンウィークの半分は息子の野球の付き添いで、全然休んだ気分がしない柏崎でございます。
さて、最近は国会議員の世襲に対する議論がマスコミをにぎわしています。世襲というのは親の手にしている特定の地位や肩書、職業等をその子や係累が引き継ぐ。まぁ簡単に言うならば親の職業に子供もそのまま就くということであります。歌舞伎や能などの日本伝統芸能などは世襲が一般的であって、私たちもそのことについて意見するつもりはありません。しかしながら、現在の代表民主政治のあり方というものを考えると、特定の一族による政治支配ということになりがちな世襲議員は百害あって一利なし、と言わざるを得ません。蝶よ花よと育てられた麻生さんや安倍さんのような世襲政治家と、私達のような一般ピープルの持っている世間の常識、一般常識の認識の差はどれ程のものでしょうか?
自民党の議員の約4割は世襲政治家です。また、政治家の引退や死去に伴って、縁故で地盤を譲ってもらった半世襲を入れると、多分6割くらいにはなるのではないでしょうか?これはちょっと尋常ではないかと思うのは私だけではないはずです。親として自分の子供がより良い生活をして欲しいと願うのは当然のことなのですが、この政治家というのは、何代にもわたって継いでいくほどおいしい商売なのでしょうか?私も今のエーエルジャパンをいう会社を立ち上げて、零細企業ながら何とか食べていけています。しかし、私の子供に胸を張って継いで欲しいと言えるほど、おいしい商売ではありません。今の子供の性格から見ても、エーエルジャパンの仕事は多分向いていないでしょう。
しかし、私の子供が「エーエルジャパンを継ぎたい」と言えば、他の職業で数年修行した後に会社を譲るだろうと思います。それでも、社員に世襲が支持されるか否かもポイントになります。もちろん、それ以前に子供自身に力がなければ会社は潰れるだろうし、その失敗の責任は全て本人が背負わなければならないのです。しかし、今の政治家にはそんな責任感があるのでしょうか?
今の日本の借金は800兆円を超え、今回の赤字国債発行という景気対策では、あっという間に借金900兆円越えの前人未到の借金地獄に陥ると想像できます。昭和40年に初めて発行された赤字国債に始まる国の借金は、サラ金地獄に陥った人間と同じで、もはや返済ができるなどとは誰も思っていません。それでも道路をつくるとか天下りの役人に予算をつけるなんて、信じられません。
何の責任も果たそうとしない政治家に代わって、新しいやる気に満ちた、何のしがらみもない人が、本来ならば政治家として選ばれなければなりません。それなのに、何世代にも渡って雁字搦めの縛りを受けた、何の責任も取ろうとしない世襲政治家を推すなんてことは、断じて許してはならないことなのです。
しかしこの現状は、私達有権者が世襲議員を何の抵抗もなく選んできた無責任な民意の結果でもあり、私達も反省しなくてはならないことでもあるのです。そりゃ、周りから「先生」と呼ばれ、高給を貰い、ただでグリーン車やファーストクラスに乗れ、一等地の宿舎には超格安で住め、国民の為になることはせずに責任も取らない、なるほど、こんな素敵な商売はないでしょうね。
私が当事者だとしたら、やっぱり子供に世襲させると思います。しかし、今は100年に一度と言われる大変な時なのです。こんな返済不可能なまでに積み上げた借金を、増税で返しますなんて国民のしんどさを理解しない政治家は要りません。その為にも、全部は無理としても欧米のようにある程度、世襲制限を法律で定めることは必要ではないかと考えています。

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