週刊柏﨑　第317回_産水国ニッポン

先週後半から比較的暖かい日が続いています。今週は前半から全面的に雨模様で、雨ぎらいの犬とほとんど散歩には出ていません。なんせ外に出ても、雨の当たらない軒下で、さっさと用を済ませるとすぐさま家に帰ってしまう根性なしの我が家の愛犬であります。
週初めに森繁久彌さんが亡くなられました。96歳ということもあり、まさに大往生の感があるのですが、うちの嫁や息子も「森繁久彌って誰？」という感じで、今の若い世代にはいまひとつピンとこない様です。合掌。

先週、人の持つ「運」について書いた訳ですが、このところのニュースを見ていると少し考えてしまうことがあるのです。それは「不運」というか本人ではどうしようもない災難に巻き込まれてしまうことです。最近でいえば島根県で起こった女子学生の殺人事件であるとか、名古屋で起こったネットで知り合った輩によるＯＬ殺人事件などであるし、少し前では秋葉原や茨城での通り魔殺人事件などであります。もう本人ではどうしようもない、たまたまそこにいたことが不運としか言いようのない出来事です。本当にお気の毒というしかないのですが、なにせ犯人たちが決まっていうのは「相手は誰でも良かった」というのですから、これは「不運」以外なにものでもないでしょう。
また交通事故などで、相手が勝手にぶつかってくるとか飛び込んでくるというのも「不運」というしかない災難であります。こう考えると、森繁久彌さんのように老衰で亡くなるのはすごく幸福であると思うのです。ですから私たちが今「運」がないとかぶつくさ言っていても、こういう自分ではどうしようもない「不運」にみまわれていないならばそれはそれで「幸運」であるのかもしれません。皆様お元気でお過ごしでしょうか。くれぐれもお体ご自愛ください。

昔日本の良いところは、水道から出る水が飲めて治安が良いことだという話を聞いていましたが、治安に関しては今や前述の通でありますし、水に関しても今やミネラルウォーターを買って飲んだり高額な浄水器をつけて、それで水道水を加工した水を飲んでいる訳です。日本というのは一部の地域を除いて、概ねには恵まれていて、水道からは飲んでも病気にならない水が常に供給されています。世界は今世紀中に地下エネルギー資源が枯渇するという重要問題に直面していますが、それ以上に深刻な問題が地球全体の水不足といわれています。しかしながら水道からじゃんじゃん水が出てしかも料金も安い、国のいたる場所から湧き水が出たり、井戸があったりして、私たち日本人は水不足ということを深刻に考えたことはありません。
なんせ日本には約35,000本もの川があり、日本中のいたるところをさながら人間の体の血管のように水が流れている訳ですから、石油より水の方が貴重だなんていう感覚は理解できないんです。ですから海外から見れば、日本はいい川がたくさんある水資源国家であり、近い将来水資源が枯渇する可能性が高いのなら、日本は産油国ならぬ世界的な産水国になるかもしれないのです。しかしながら日本という国家はそういう恵まれた立場ということを理解しておらず、川や水源を守るという考えが希薄であったのです。
治水というお題目で日本中に造られたダムは、私たちに本当に必要だったのかと言えば、実は一部の業者や政治家にとって必要だったということが、今や周知されてしまっているのです。しかもダムは本来の役目とは逆に川の水量が激減して、農耕や生態系を破壊しているという識者がいるぐらいなのです。ロブ・ノールという、昔タクラマカン砂漠にあった琵琶湖より大きい湖が消失したという話を、作家の椎名誠さんのエッセイで読んだことがあります。理由というのがこのロブ・ノールに流れてくる川にダムを作り灌漑用の治水を増大させたことによって、湖を維持する水量の供給が絶たれたというものなんです。
現在ＣＯ₂の削減だけが環境良化の方法みたいに扱われています。しかし水による緑地化とか生態系の維持は美しい日本を築く上でとても大切なことだと思います。日本という国は四季が有り、沢山の清流を有する美しい国です。無駄使い廃止とか天下り禁止という今の民主党のマニフェスト実行の為にダムとか道路の建設が中止になっていますが、その前に産水国の日本として、水の供給元として、今後水資源を破壊してしまうようなことはあってはならないのです。皆さんの家にある井戸が将来、アラブの油田のような凄いものになるかもしれませんよ。

追伸　去年の暮れにこれからの投資対象は金であると書きました。予想通り値上がりをしました。読者の方から、これからの見通しは？とのご質問がありましたので私の見通しを述べます（あくまで予想でありますので）。
去年の暮れ1ｇ2,500円くらいであった金は現在1ｇ＝3,400円くらい上昇しています。現在の経済、とりわけ米ドルに信頼がおけないことを考えると1ｇ＝4,000円位迄の上値はあると考えます。また円ドル相場は以前述べたように1ドル80円～100円のボックスで動くと予想しています。今年から半年にかけて円の高値を探る動き、1ドル＝85円位のレベルがあるかもしれません。（あくまで予想ですので参考にしてください）