週刊柏崎 第823回 「自然免疫」と「獲得免疫」
ゴールデンウイークが終わりました。天気に恵まれ、気温も上がり本来であれば観光名所や都市部では凄い人出であったと思いますが今年はどこも嘘のように静かで有りました。まあ、新型コロナウィルスの感染防止の為に、5月7日まで全国的に外出自粛要請が国から出ていましたから、それなりに予測出来ていたことですが、京都の街中を見る限り、こんなゴーストタウン状態で果たして経済的に日本人が暮らしていけるのか不安になります。マンションの入口の植え込みに咲いていたツツジも終わり、今は紫陽花の葉が青々しいです。
ゴールデンウイーク中、外出といえば、京都市最北部に位置する柊野にテニスに行ったのと、会社に洗車の為にきて、ついでに連れて来たワンワンと鴨川を散歩した位であとは自宅に籠って、お国の外出自粛要請をしっかり遵守いたしておりました。
皆さん、お変わりなくお過ごしでしょうか。
新型コロナウィルス、この言葉を聞かない日は無いと言ってもいいと思います。コロナウィルスはさぞかし怖いウイルスかというと、実は一般的な風邪を引き起こすのもコロナウィルスです。コロナウィルスには色々種類がありまして、一般的な弱毒性の風邪の原因となるコロナウィルスから「SARS」や「MARS」と言った致死率が高い恐ろしいコロナウィルスも有ります。
今回の新型コロナウィルスが世界中でどうしてここまで多くの重症者や死者を出しているのに、確立した治療法がないのでしょうか。それは今回の新型コロナウィルスが、人類が初めて遭遇した未知のウイルスだからです。
話は変わりますが、ちゃんとした予防をしているにも拘わらずインフルエンザに罹ってしまう方がいる一方、何も考えないで生活しているのにインフルエンザに罹ったことが無いという方もいます。その差を生み出す要因が「免疫システム」というものです。免疫システムとは、外から体内に侵入してきたウイルスや菌、ガン細胞など身体に悪影響を及ぼすものを攻撃して風邪やインフルエンザ、ガンなどの発症を抑制する防波堤のようなシステムです。前述したように感染症のインフルエンザに罹りやすい人もいれば罹りにくい人もいる、これは免疫システムには個人差があって所謂免疫力が強い人と弱い人がいるということです。免疫というのは「自然免疫」と「獲得免疫」に大別されます。「自然免疫」は生まれながらに私達に備わっている免疫であり、力は獲得免疫のように強くは有りませんが、外敵が体内に侵入したらすぐに攻撃します。一般的に食事や睡眠などの正しい生活習慣により強化できる免疫力はこの「自然免疫」と言われているものです。「自然免疫」を高めることで風邪やインフルエンザなどの感染症を予防し、重篤化を防ぐことが可能です。「獲得免疫」というのは攻撃力が高く、「自然免疫」でカバーしきれない病原体のような強い外敵を攻撃するスーパー免疫です。ただ欠点として外からの侵入者を敵として認識するのに時間がかかってしまうのです。ですから新型コロナウィルスのような未知のウイルスを「獲得免疫」が叩くにはどうしても攻撃が遅くなるのです。皆さんワクチンという言葉は聞いたことが有ると思いますが、ワクチンというのは無毒化したウイルスのことです、ですからワクチン接種して「獲得免疫」にウイルスの特性を記憶させ攻撃体制をとらせ、実際にウイルスが侵入してきた時すぐに攻撃し退治するのです。
新型コロナウィルスというのは前述した通り人類が未だ遭遇したことが無いウイルスです。攻撃力が強い「獲得免疫」は新型コロナウィルスが体内に侵入しても暫くは外敵として認識することが出来ません。今、新型コロナウィルスのワクチンの開発が急がれているのは強い「獲得免疫」を動かすことが新型コロナウィルスを克服することにつながるからです。もともと、免疫というのは、一度罹った病気には二度目は罹り難くなることを表す言葉でありました。それは「獲得免疫」が外敵を認知することにより、体内に入った認知できる外敵をすぐさま叩くということです。
新型コロナウィルスのワクチンは未だ開発されていませんので、新型コロナウィルスと初期段階で戦えるのは戦闘力が高くない「自然免疫」なのです。基本、ウイルスは私達の細胞内に入り増殖する病原体です。実は「自然免疫」では細胞内の病原体を叩くことは難しいのです。「自然免疫」で退治出来なかったウイルスは呼吸器内の細胞内で増殖し炎症を起こします。細胞内のウイルスを叩くためには「獲得免疫」の力が必要になります。「自然免疫」が高い人は、自然免疫を司るマクロファージなどの細胞が「獲得免疫」に対して働きかけ、素早く「獲得免疫」が動き出すのです。ですから「自然免疫」が高い人は新型コロナウィルスに罹っても軽い風邪程度の症状で済む場合もあるのです。ところが高齢者や基礎疾患を持った抵抗力が無い人は、「自然免疫」が低く、「獲得免疫」が働くまでに症状が重篤化してしまいます。若い人でも食事や睡眠などの生活習慣が悪いと、当然「自然免疫」が高く無く、重篤化することが有るのですね。新型コロナウィルスの一番の特徴は、その感染力の強さと速さです。未知のウイルスですので体内には免疫(経験)が有りませんから体内に新型コロナウィルスが入ると、ほぼ100%感染してしまいます。「自然免疫」が体内に入った新型コロナウィルスと戦っている間は発熱や咳などの身体的症状は出にくいのです。ですから新型コロナウィルスになって高熱が出たり咳が止まらなくなった時は既に「自然免疫」では対処出来なかった事を意味します。この初期段階でアビガンやレムデシビルのようなウイルスの増殖を防ぐ薬を投与することが大切です。
また、先程の「自然免疫」の力で新型コロナウィルスによる発熱や咳が無い場合は所謂サイレントキャリアとなり無症状のまま出歩き、新型コロナウィルスを撒き散らかす可能性があります。まあ、「自然免疫」を上げる為に食生活や睡眠、ストレスなどを考えること、そして「免疫細胞」の70〜80%が小腸にありますから生きた善玉菌を摂ることです。
新型コロナウィルスの感染に関しては、どうやら第一波はひと段落したように思えます。今年の秋ごろからやって来ると言われている第二波は過去の例からいってもっと大きな被害をもたらします。その時までにワクチンや特効薬が出来ているという保証は有りません。私達が出来ることは手洗い、うがいなどの予防と「自然免疫」を高くすることです。