データ捏造事件      週刊柏﨑 第172回

寒いことは寒いのですが、ものすごく寒いかといえばそうではない。
心なしか、私の周りに風邪をひいたという人がいない様な気もします。
先日、あるショッピングモールに行ったのですが、、冬物衣料品が、すでにディスカウントで売られていて、店のディスプレイも春物ばかりになっています。過ごしやすいのは良いのですが、日本の経済は、寒い時は寒く、暑い時は暑いという形で成り立っていますので、少し心配です。
皆様、お変わりございませんか?
 
私達弱小ながらも健康関連に従事する者として、他人事ではない事件が起こりました。
皆様も御存知とは思いますが、あの「あるある大辞典」のデータ捏造事件です。
今回、問題となったのは、「納豆」という私達にも非常に身近で安価な食材であったことと、ほとんどの方が気にされているダイエットということが、問題をことさら大きくした感があります。
今回その納豆の効能として、それに含まれるDHEAという肌の老化や筋肉の減少に関係するホルモンが停滞ホルモンという悪玉の王様のようなホルモンを減少させるということで、基礎代謝が上がりダイエットにも良いとか、悪玉コレステロールを下げる、中性脂肪、血圧、血糖値まで下げる、と良いことずくめにうたったのです。当然、反響はものすごく、スーパーや飲食店のショーケースから納豆が全く無くなるという異常事態になりました。
まあ、通販のダイエット食品を何万円もかけて、購入して、全く効果がない人達が、こんな100円くらいで買うことのできる納豆で、それ以上に効果があるとアメリカのえらい学者先生が実証し、TVで放送しているのですから、当然といえば当然な事象なのです。
今まで、納豆といえば、様々な健康番組で取り上げられていた食材で、その時は主に納豆に含まれるイソフラボンが身体に良いとか、ナットウキナーゼが血栓を溶かすなどがテーマだったのです。それが今回はダイエットというテーマで、私達が聞いたこともないような「黄金の法則」という食べ方を紹介したことにより、皆が「えー!そうなの?」ということになった訳です。その黄金の法則とはどういうものかというと、1日2パックを朝と晩に分けて食べ、食べる際には、よくかき混ぜて20分間放って置く、という「な~んだ」というもの。
そうすることによって、ポリアミンという物質が増えて効果が出るということなのです。
TVでは、2週間で3kg減で基礎代謝が150kcal増えたという結果が出て、「こりゃすごい話だ」ということになったのです。
でもここで、私達専門家(?)は、いつも考えてしまうのです。体重(脂肪)を1g を落とすには、約9Kcalを要します。基礎代謝を上げるというのは、短期間では、絶対に効果は出ません。
なぜなら、上昇分150kcal/日×2週間(14日)=2,100kcalで、2週間では、脂肪は290gしか減りません。
要するに3kg落とすには9kcal×3,000g=27,000kcal
この内、脂肪には水分が15%~20%ありますので、約22,000Kcalを消費する必要があります。1日の成人の摂取カロリーは、2,000Kcalですので、約10ヶ月絶食して落とせる体重なのです。簡単にいうと納豆を食べると、5時間ジョギングしたくらいのエネルギーを消費できるというのは、いくら20分放って置いても無理なことなのです。別に納豆だけではなく、野菜や海藻、青魚など体によい物は、沢山あるわけで、これらの食材をバランス良く、総カロリーを考えて、時間をかけて食する。そして、体を少しでも動かす。これを実行することが一番です。何回も言いますが、ダイエットは簡単ではないのです。
 
ちなみに私の知り合いの社長(70歳代の男性)は、納豆をこの黄金の法則で食べたら、お腹が張って、何も食べられなくなって、2日で3kg痩せたそうです。

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