40歳になったら必ず知っておくべき肝臓への影響と、意識したい抗酸化ライフ
前回の記事では、飲酒について知っておきたい基本的なことを掲載してきました。
第2回目となる今回の記事ではお酒に弱い体質の方と、40歳以上の方が知っておくべき肝臓のことを記載していきます。
お酒に弱い人はとくに脂肪肝に要注意!
熊本大学から2016年5月、肝臓に脂肪が溜まってしまう「脂肪肝」の発症リスクについての研究を発表しました。なんと、「お酒に弱い人は、飲酒の習慣がなくとも脂肪肝になりやすい」ことが判明しています。
脂肪肝は、肝硬変や肝臓がんへ進行する可能性があり、多くの生活習慣病へとつながる恐れのある疾患です。
なぜ、お酒に弱い人は脂肪肝になりやすいのか?
お酒をよく飲む人が脂肪肝になりやすい、こう言われれば「やっぱり!」となるのですが、どうしてお酒を習慣的に飲まない、お酒に弱い人が脂肪肝になりやすいのでしょうか?
熊本大学がおこなった研究の概要
熊本大学が日本赤十字社熊本健康管理センターで人間ドックを受けた人たち(飲酒習慣のあるものを除外した)341名を対象に、「ALDH2遺伝子型(※)が脂肪肝の発症に及ぼす影響について」検討をおこないました。
(ALDH2遺伝子型…体内に入ってきたアルコールを分解する酵素(遺伝子)。アルコール分解力の約80%を占める。この遺伝子のある・なしでお酒に強いか弱いかが決まる。)
- 肝障害の指標として診療に用いられている「γ-GTP」を調べたところ、25.5IU/Lが脂肪肝の発症と、非発症を予測する際の分岐となる値であったことから、ALDH2の低活性(以下、お酒に弱い体質)と、γ-GTP25.5IU/L以上の組み合わせが、脂肪肝発症に及ぼす影響を検討しました。
- 「お酒に弱い体質で、かつ、γ-GTPが25.5IU/L以上の人」では、「お酒に強い体質で、かつ、γ-GTPが25.5IU/L未満の人」と比べて、脂肪肝の発症リスクが約4倍高いことがわかりました。
これは、お酒に弱い体質の人では、お酒に強い体質の人に比べ、脂肪肝になる確率が約2倍高いという計算になります。
お酒に弱い体質の人は、γ-GTPが25.5IU/Lというそれほど高くない値であっても、脂肪肝の注意が必要です。
肝臓はその名の通り、生命活動の「肝」となる臓器ですが、こうした食べ過ぎ・飲み過ぎ・運動不足など、生活習慣の影響を大きく受けやすいです。
お酒をあまり飲まない人の脂肪肝リスクが2倍高くなる、これもやはり遺伝子によるところが大きいのでしょうか。
脂肪肝の怖さは、たまった脂肪に活性酸素が結びつくと、有害な脂質(過酸化脂質)に変質してしまうところにあります。脂肪が酸化されれば、肝臓は炎症を起こしやすくなり、低下していた肝臓の機能はさらに低下します。
こうしたお酒を飲まない人が発症する「非アルコール性脂肪性肝炎(NASH,ナッシュ)」には活性酸素が関与していることがわかっています。
40歳からは知っておくべき、肝臓のこと
肝臓には様々な害から身を守るため、活性酸素を無毒化する「SOD,スーパーオキサイドディスムターゼ」という名の酵素が備わっています。
若い時は飲酒や食べ過ぎ、運動不足などで、活性酸素が発生していても、この酵素「SOD」の活性力が強いので大丈夫なわけですが、40歳前後からその力は減少していきます。肝臓で発生した活性酵素の害は、各種疾患を含めた全身の老化に影響を及ぼすので、日々の定期的なケアが必要になってきます。
逆に言えば、肝臓の酸化に注意していれば全身の老化を抑えることができるということです。肝臓の酸化を防ぐことは、全身の酸化(老化)を防ぐこと。抗酸化ライフを意識する上でとても重要なポイントです。
出展
【お酒に弱い人は脂肪肝に注意!】遺伝的に活性アルデヒドを分解する酵素の働きが低い人は飲酒習慣がなくても脂肪肝を発症しやすいことを証明
http://www.kumamoto-u.ac.jp/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2016-file/release160524.pdf