週刊柏﨑 第502回_アベノミクス

梅雨入りしてから、毎日どんよりした空模様であったのですが、全くといっていいほど雨が降らず、日本各地は水不足状態でありました。
先週に私が出来る事は雨乞いくらいですと書いていたのですが、今週に入りこれでもかという位雨が降っています。もちろん、私の雨乞いが効いた訳ではなく、やっとこさ日本に発生した梅雨前線と今度こそは日本に上陸しそうな台風4号の影響なのですが、水不足はこれでなんとか解消出来そうであります。ただし、富山など北陸地方では各地で洪水の被害が続出していますし、沖縄や山陰地方では6月の降水量記録を更新だそうです。本当に天任せですな。
水不足にも拘わらずシャワーなど水をジャンジャン使う非国民の娘がよく口にする「琵琶湖があるから大丈夫や」というのは京滋地方に住む人間が水不足の時言う言葉であります。つい最近琵琶湖に釣りに行った社内の人の話では、かなり湖水が減っていたそうでありまして、雨の被害に遭われた方々には申し訳ありませんが、やれやれであります。
私の家の庭には梅の木があるのですけど、実はこの陽気にも拘わらず梅の実が豊作でありまして、ここに越してきて一番なのですが、梅酒でもつけましょうか。

皆さん、お変わりなくお過ごしでしょうか。
今週、原発を稼働、維持するに当たりその安全性を確保する新規制基準が発表されました。
まあ、基本的に国や電力会社を始めとする産業界は再稼働させる気満々なわけでありますが、こんな規制基準でこれからの原発稼働が、もう大丈夫なんて言えたもんではないです。大体、新しい規制には相当厳しい決まりがあるそうですが、なんせ自然相手のこともあるのですから、まずそんなものをコントロールすることは無理ですよね。
規制基準には竜巻や火山の噴火という災害も対処されているといいますが、いったいどうやって竜巻から原発を守るのか教えて欲しい物です。テロ対策も考慮しているといいますが、多分人災であるテロさえも防ぐことは出来ないと思います。
先週、静岡で県知事の選挙があって現職の反原発派の知事が、原発容認派の自民党の推薦を受けた対立候補に大差で圧勝したのですけれど、例によって余り報道されません。
この夏の参院選は本来であれば原発の再稼働の是非、TPP、消費税と我々国民の生活に拘わることの最終審判を仰ぐ場にするべきなのですが、慰安婦問題とか株や為替とかに焦点がずらされていますな。ですから、自民党の偉い女性議員が思わず口走った「原発事故で死んだ人はいない」という失言は自民党にとって一番触れられたくない原発問題を蒸し返すことになりましたが、どうやって自民党がうやむやにするかみものです。政府や産業界では原発を廃炉にした場合のコストをさかんに言いますが、事故が起きなくても全原発の廃炉を決定したドイツとか実際に国民の意思で動いたのですから、ドイツに出来て日本に出来ん筈がないと思いませんか。
さて、先日税理士さんと話をしていたら、こんなことを言われました。
「今、普通の企業で、社員の給料を増やそうとして、仮にひと月1万円昇給を決めたとします。社会保険料などが当然上がりますから、この分は労使折半になり企業分の負担は4千円となり、結局企業側はトータル14千円を社員に払うことになります。これで社員さんの給料はひと月手取りでいくら上がるかというと、たったの2千円位ですよ。」というのです。「現行の社会保険とか色々な増税分で12千円引かれてしまうのですよ。要するに、サラリーマンの給料を上げると言っていたのに昇給分の大部分を国が取ってしまう、これがアベノミクスなんですね。無理して給料を企業が上げても社員は喜ばない、誰が給料を上げますか。これなら減税のほうが皆喜ぶでしょ。」と税理士さんは言います。なるほど、消費税で年間12万円増税されたら、給料が年間12万円上がっても全然チャラでは無い訳なんです。
そもそも、アベノミクスというのは何かということなんですが、私が社会人になった1980年にアメリカの大統領になった故ロナルド、レーガンが当時のアメリカ経済を立て直す為にとった政策、レーガノミクスのパクリというか模倣であります。但し、名前が似ているだけで政策は全く違います。
当時のアメリカは日本のデフレに対してインフレでありまして、それも不況下のインフレと言われているスタグフレーションという最悪な状態でありました。それを回避するために、大減税と強いアメリカを実現するための、軍事支出の増大とドル高を柱にした政策をとった訳であります。
結果、目先のインフレは止まりましたが、巨額の財政赤字と累積債務の劇的増加をまねいたのです。私は、当時駆け出しの証券マンでありまして、レーガノミクスの意味も分からないまま、8%利回りの国債など、今では考えられない高利回りの債券を飛び込みで販売しておりました。かたや、日本のデフレを回避し日本を再び成長路線に乗せるための政策、アベノミクスなのですが、結果はともあれ、アメリカのオフィシャルな政策として国が責任を持って実行されたレーガノミクスと違って、アベノミクスには国としての責任というか、政策としての一貫性がありません。したことといえば、瞬間的に国債を大量買い付けを行っただけでありまして、結果オーライ的に為替が円安に振れ、株価が暴騰しました。
ただし国債の大量買い付けによって長期に渡って安定していた国債市場が不安定になり、為替も株も非常に投機的なマーケットになりました。始末におえないことに、日銀や政府には、もはや複雑に絡み合っている金融市場をコントロールすることは出来なくなっているのです。
今や、日銀の総裁はなすすべが無いと言うのが現実であります。机上の理論では、生き馬の目を抜く金融市場をコントロールするのは無理です。大体、先日テレビのニュースでアナウンサーが「日本の経済政策が失望され円が大幅に買われています。」って、これ日本語じゃないでしょ。全く意味不明であります。

柏崎

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