週刊柏﨑 第501回_GNI(国民総所得)

梅雨入りと同時に暑くなり京都では連日、30度越えの真夏日が続いています。
週初めにはQVCさんでの歯磨きジェルのO.Aがあって関東に出張していたのですが、はるかに気温は低いですな。先週から相変わらず、カラ梅雨状態が続いています。
京都市内北部に位置する我が家の近所でも田植えが終わった田んぼにかろうじて水が張ってあるものの、近くの公園では今の時期伸び放題の雑草が枯れてしまって、まるで冬の公園のように全体が茶色くなっています。
田んぼに見かけるようになってきたおたまじゃくしも、こころなし元気が無いようです。気温が上がっても湿度が低いというのは、結構快適に生活を送れるので悪い事ではないのですが、水不足が深刻になると話は別であります。
かと言って地震や竜巻と同様、自然相手では仕方ないことでありますし、雨乞いでもしますかな。まあ、節水位しか私には出来ませんが。
台風3号が日本に上陸しそうな感じであり、局地的には大雨が降りそうなんですが、果たしてダムなどの貯水池地域に降るかどうかはそれこそ全く分からない訳であります。降ったら降ったで、降りすぎで洪水や鉄砲水などは困るので、まさしく天任せでありますな。
まあ、それでも関東から近畿にかけてまとまった雨が降りそうですので、水不足での最悪期は脱しそうです。(このコラムはQVCさんへのオンエアーの関係上12日水曜に書いていて、台風の進路については水曜時点でのことです。)

皆さん、お元気でお過ごしでしょうか。
先週末QVCさんでの年2回のベストセラーイベントでありましたが、皆さんのご支援のおかげで7回目の受賞となりました。皆さんには厚く御礼申し上げる次第であります。

安倍総理が先日発表した第三の矢、所謂日本を再生させる政策でありますが、国民の所得を10年で150万円増やすのだそうであります。
本当であればそれは喜ばしいことですが、どうやら官僚に吹き込まれた数字のマジックであるようです。
ここで使われているのがGDPならぬGNIという指標であります。GNIというのは国民総所得と言う事なんだそうですが、この勘定には我々国民の所得だけではなく、全ての企業の国内だけではなく海外で稼いだ所得や海外に貸し付けているお金(米国国債など)の金利なども含まれます。
まるで国民個々の所得のように感じますが実際は違います。トヨタやホンダが物凄い金額を稼げば、私達の所得が下がっていてもGNIは増加します。
また日本は世界一の債権国で約350兆円近く外国にお金を貸していますので毎月1兆円以上が金利として日本に入ってきます。
ですから小泉政権の時このGNIは国民一人当たり16万円上がりましたがサラリーマンの平均収入は13万円下がったという現実があります。
また、あれ程円高不況と言われていた3年間の民主党政権下でもGNIは3年で約60万円上昇しています。ということはGNIが150万円上がっても私達国民の収入が上がることは無いということですし、この1ドル=100円程度の為替水準が続けば何もしなくても10年でGNI、150万円アップは簡単に達成出来るハードルでありますな。
こんな指標をどこから引っ張り出してきたのか知りませんが、優秀な官僚が四六時中国民にアピールする手段を考えているのでしょう。大体、円安になって私達一般人に何かいい事があるのかというと、ほとんど無い訳です。
食べ物の値段は上がるし、ガソリンや灯油も上がる、そして電気やガスの料金と色々なものが値上げになります。
喜んでいるのは、トヨタとかホンダやソニー、パナソニックと基本大手の輸出が多い企業であります。それは、商品代金をドルとかユーロという外貨で貰うから、円に替えた時手取りは上がるからです。普通の人にとって収入というのは、ほとんどの方が円建てで貰いますのでドルなんか関係無いですね。給料をドルで貰っているメジャーのダルビッシュ選手とか青木選手なんかにとっては、この円安で円換算の給料は何もしなくても30%位増えています。
要は海外からみたらここのところの円安によって日本国民の収入は外貨換算で減っているのですから、いいことが無いのは当たり前のことです。
円安によって株が上がったという人がいますが、円安で株が上がるなんて法則はここのところ出来たようなもので、私が株屋でブイブイ言わせていた頃の85年~90年のバブル期はプラザ合意での円高時代であって、円高は株高といわれていたのですよ。だって、今、株式を買っている主役といわれている外人投資家にとって円が高くなるということは株価が上がらなくてもドルに交換した時、手取りは増えるのですから。
何回も言いますが、円安になって良い事は一つ、日本が外国に貸しているお金、対外債権、これは当然円ではなくドルなどの外貨で貸しているのですが、これが円安で3割は円ベースで増えていることであります。
少し前までの対外債権、外貨ベースで約350兆円分として増加分で円換算約100兆円、消費税を5%上げて、国が見込んでいる歳入増は約9兆円なのですから、先ず100兆円分ある米国債でも少し売れよと考えるのですが。アメリカが中国に対し気を使わざるを得ないのは、中国が持つ世界一の外貨準備高=米国債を売られる時の恐怖と言われています。
もし実行されたらアメリカは終わりでありますし、基軸通貨ドルの価値は失墜し日本を始め世界経済は破綻します。
日本はこの外貨準備高が世界二位でありまして、日本がもし米国債を大量に売却すれば同様にアメリカは破綻します。実際昔にアメリカで故橋本竜太郎総理が「米国債を売りたい衝動にかられる」と言ったところアメリカ市場がパニックになったことがあったのです。
まあ、アメリカの言いなりと言われている日本が、米国債を売ることは無いとなめきっているのが、今のオバマ政権であり、それが訪米した安倍総理の米国からの待遇に表れていますな。
米国が生きるための栄養補給機としか日本を見ていないのが見え見えでありますが、少しは日本の為に男気を見せてくれる政治家はいないのでしょうか。

柏崎

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