30歳を過ぎたら知っておきたい、現役医師が受けたい「乳がんの最新検査法」
前回の記事では、乳がんのセルフチェック法をご紹介しました。
今回は、乳がんの最新検査法・乳がんタイプのことをご紹介していきます。
乳がんの最新検査法を知る前に知っておきたい、乳がんのタイプのこと
乳がんの最新検査法をご紹介する前に、乳がんのタイプのことを先に掲載していきます。
乳がんには大きく分けて、「浸潤がん」「非浸潤がん」の2つのタイプがあり、その意味合いは大きく違います。
- 浸潤がん
周囲の血管やリンパ管に入り込んで、転移する能力を持つタイプ - 非浸潤がん
転移する能力を持たないタイプ
がんが転移しない非浸潤タイプであれば、それほど恐れることはないのでは…と思ってしまいがちですが、残念ながら多くの乳がんは転移する能力をもつ浸潤タイプのがんです。
放置すると全身にがん細胞が転移するだけでなく、悪性度も増していくので、治療も難しくなっていきます。
ちなみに、乳がんで有名なマンモグラフィー検査は効果があるのか?
胸のレントゲン写真であるマンモグラフィー検査は、年齢によって有効度が変わるので、過信は禁物です。
ある程度年齢がいっている方であれば胸には脂肪が多いので初期の乳がんが判りやすいですが、若い方は胸の密度が濃いので、初期の乳がんを見つけるのは少し難しい場合があります。
そうした場合は超音波検査を用いて診断をします。
なので、より精密な検査結果を望む若い方は、マンモグラフィーと超音波検査を一緒に受けましょう。
画像検査で、しこりが確認された場合は…?
検査の結果、しこりが発見された場合は、細胞診検査をおこないます。
細胞診検査は、注射針でしこりの細胞を吸い出して、それが良性のものか、悪性のものを顕微鏡で診断する検査です。
ただし、それでもまれに判断がつかない場合があります。
細胞診検査で判断がつかない場合は組織診断に移行します。
組織診断は太めの針で組織を取り出して診断する検査方法です。
医者が受けたい!超最新がん検査とは?
医師が受けたい最先端のがん検査は、全身のがんが一目で分かるPET-CTと呼ばれる画像診断法です。
これまではCT検査機を使用し、カラダの輪切り写真を一枚一枚見て画像診断する方法が一般的でしたが、PET-CT検査では以下の二つの特徴があります。
- ブドウ糖を吸い寄せるがんの特性を利用し、カラダにブドウ糖を注射して、がん細胞に印をつける技術(PET)を検査に組み込んだ
- 10種類以上の初期のがんを発見することができる
(1)甲状腺がん(2)肺がん(3)肝臓がん(4)胆のうがん(5)大腸がん(6)頭頸部がん(7)食道がん(8)乳がん(9)すい臓がん(10)卵巣がん(11)子宮がん
CT検査で発見できなかった5~10mmの大きさのすい臓がんがPET-CT検査で発見できた例も報告されています。
PET-CT検査のがんを発見できる性能は一般のがん検診の約10倍にも上ると言われていて、その性能は現役医師の折り紙付きです。
ただし、やはり超最新とだけあってその検査料は123,000円とかなりお高いです。(条件により保険が適用される)
今では3mm程度の乳がんでも発見することができる、乳がん専用のPET検査機器も出てきているので、近い将来にはPET検査ががん検診の主流になっていく気がしています。
保険が適用されている従来の乳がん検診を受けたい方は、治療に移行すると長い付き合いになる可能性があるので、近くて通いやすい病院をまず訪れてみましょう。