週刊柏﨑 第651回_日本経済について

6月に入りました。相変わらず京都では、日中は真夏日になることが多く、このまま夏に突入じゃないかという感じであったのですが、日光や北海道では季節外れの雪が降っているようです。米国NASAの発表によると4月の世界の気温は観測史上最高を記録したそうでありまして、このままいくと今年の平均気温は大幅で今迄の最高気温記録を更新し、「史上最も暑い夏」になる可能性があるそうです。先週も触れましたが、先月インドでは51度という常識では考えられないような気温を記録したのです。最早人間が生活できるような環境ではありませんな。地球温暖化対策を私達は改めて考えなくてはなりません。化石燃料に頼らず原発をというつもりは、勿論ありません。国が一丸となって自然再生エネルギー政策を推し進めるこれが大切であります。私も、ここ数年は冷房をなるべく使わずに夏場を過ごしています。但し、極端にどんなに暑くても全く冷房を使用しないというと熱中症の危険性がありますので、しっかりと水分補給して、冷房は体調と相談してちゃんと利用して下さい。

さて、皆さん、お変わりなくお過ごしでしょうか。

予想通り消費税の増税が延期になりました。まあ、零細企業のエーエルとしては、やれやれなのですが、増え続ける社会保障費や待ったなしである財政再建を考えると必ずしも歓迎しているばかりのことではありません。安倍首相の声明によると、日本経済はアベノミクスによって雇用や給与が良くなって、確実に良くなっているのですけど、世界的に商品市況が暴落していて、環境がリーマンショック時と似ている事、中国を始めとする新興国の経済状態が悪化していて世界経済に大きな悪影響を及ぼす可能性があることから消費税を上げる環境にないそうであります。要は、「日本はアベノミクスによって景気が良くなっているから消費税は上げれるけど、世界経済がヤバイから上げれないでしょ。」という事です。安倍首相としては、2014年12月の衆議院議員の解散総選挙の際、2017年の4月には、リーマンショック級の経済破綻か東日本大震災並の天災が起きない限り、絶対に消費税増税を行い、その為にもアベノミクスで経済成長をしていくと宣言したのです。それを考慮すると今回の安倍首相の消費税増税延期の声明は、はっきり言って整合性が無い、要は辻褄が合いませんな。安倍首相が言う通り、アベノミクスによって経済が順調に回っているなら、消費税は約束通り上げる環境にある訳であります。あの熊本大地震も東日本大震災並の被害とは言い難いですし、リーマンショックの前夜と同じ状況という安倍首相の伊勢志摩サミットでの苦しい説明もアメリカやドイツの首脳から商品市況は底を打っているし、経済もしっかり成長していると、軽く一蹴されてしまいました。それで持ち出してきたのが、中国などの新興国の不安な状況による日本を始めとする世界経済に与える悪影響のリスクという話なのですが、もしそんな状況を危惧するなら、我々国民の年金基金の多くを株式投資に突っ込んだ理由がありません。新興国のリスクが消費税増税を延期するぐらい影響があるのなら、すぐさま株式投資から撤退することが何よりも優先されるべきです。安倍首相としては、まず現状の日本は先進国の中で経済成長がほぼ無いということを認識しなければなりません。それをアベノミクスが失敗したからと言うつもりはありません。日本をこのような状況にしてしまったのが、私は間違いなく消費税の増税であると思っています。多分、安倍首相にしても「アベノミクスによって日本経済は良くなっていたのに、消費税の増税でぶち壊された」と口元まで出かかっているに違いありません。ですから、今回の消費税再増税は本当にアベノミクスをぶっ壊す可能性が極めて高く、延期は寧ろ当たり前の措置です。安倍首相としては、2014年の増税宣言を撤回する理由というか言い訳にサミットを利用しようとしたのですが、中々思い通りにはいきません。ただ現在の日本を動かしているのは、官僚であり、その一番のパワーを有する旧大蔵省の望む消費税増税を回避したことは、安倍首相の功績であるのかも知れません。日本の税収予算というのは、2016年度国税と地方税を併せて約101兆円です。項目別に見ていきますと個人の所得税、住民税、個人事業税が約31兆円法人の法人税、住民税、事業税が約22兆円、消費課税が消費税、揮発油税、酒税、タバコ税などを併せて約34兆円、そして固定資産税などの資産課税が約14兆円となります。消費税1%は約2,75兆円でありまして、もし来年予定通り消費税が上がって10%になれば5,5兆円理論上は税収が上がる筈でありました。現在の日本の名目GDPは約500兆円です。これは、私達国民と企業が1年間汗水たらして稼いできた汗の結晶であります。ここから無条件に100兆以上の税金が徴収されます。そして残ったお金を使うと消費税が徴収される訳であります。消費が繰り返される度にお金が減っていくのですから、基本消費はペナルティーが課せられているようなものです。前にも書いたことがありますが、国としてタバコや酒類、化石燃料など減らしたいものに課税を強化しているのですから、国の経済成長に大切なGDPの60%を占める個人消費に対し消費税増税をするということは完全に矛盾した政策です。但し、日本の社会保障費とか財政再建を考えたとき、税収増というのは避けては通れないことです。ある経済コラムに書いてあったのですが、先の日本の税収予算の内の資産に対する課税強化が一番日本経済に打撃がない方法だと言います。何故なら。資産課税というのは、「働かず、消費もしない資産から徴収される税金」であるからです。それに、前述した通り税金の内、資産税はトータルで20%にも満たない訳ですから上げる余地はあると思います。現在の日本経済は、ほぼゼロ成長であります。日銀がマイナス金利政策を採り、金利が殆どかからない状態なのに、リスクを取ってビジネスをしようとする人が少ないのです。リスクを取ってビジネスをしても、ゼロ成長で増えない利益に課税され、のこったお金を使うとまた課税されるのですからね。当然、金融資産を含む遊休資産を持つ人たちにしても、それを使ってビジネスしようとは思いません。資産課税が僅かしかかからないからです。経済がどんどん成長している時であれば、稼いだお金や消費に課税することは間違いではありません。資産課税に関係なく資産を動かすリスクを取ってもビジネスする方が利益を得る可能性が高いからです。現状の日本のようにゼロ成長下で、しかも金融資産や固定資産が積み上がった状態で、動かないことが得策のような現在の税体系では経済が効率的に運営されることが無く、ドンドン経済は縮小してしまいます。このコラムでは、結論として日本経済の活性化の為に、所得税、法人税、消費課税を大幅に引き下げ、資産課税を大幅に引き上げることが必要としています。要は、「稼ぐ」「使う」という経済行為の課税を少なくして、「持っているだけ」ということに大幅に増税するということです。そうすれば嫌おう無しに経済が回るということです。それでなくとも、パナマ文書で問題になったように持っているだけの金融資産があれだけ巨額に海外のタックスヘイブンに逃避しています。このところ全く解明が進んでいませんが、あれだってしっかり全容を把握して、課税出来るものに課税出来れば消費税が無くなっても全然困らない程のインパクトがあるものであります。パナマ文書で垣間見た、世界の隠れた金融資産、当局が提携して、その資産課税逃れを決して許してはなりません。

安倍首相はアベノミクスの補てんとして、秋に大型の補正予算を組むそうです。しかしながら、また自民党お得意の公共工事に使われるのでしたら、目先はともかく、長い目で日本の為にはならないとことは、これまでの経験上明白でありましょう。規制を緩和し、新しいビジネスを創出することが今の日本に必要なことであります。本日、安倍首相は補正予算で整備新幹線や高速道路がどうのと言っていましたが、そんなものでは日本は変わることはないでしょう。日本に必要なのは、アップルやマイクロソフト、アマゾンのような産業を変革させるような企業を育成する環境造りであると私は、思いますね。国からの補助金頼みで運営するようなビジネスはもうやめましょうよ。

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