第898回 チョット難しいですが、日本の未来が不安な訳

11月も最終週になり、来月は早くも師走、1年が過ぎるのはあっという間です。今週初めに京都には、久しぶりのまとまった雨が降りましたが、まあ、あれ位の降水量では琵琶湖の水不足が解消されることは無いでしょうね。翌日の勤労感謝の日は晴天に恵まれましたが、一気に冷え込んで、京都は冬本番を迎えようとしています。

4〜5年ぶりに嫁と嵐山に紅葉を見にいきました。我が家の場所は、嵐山には京福電鉄を使っても、阪急電鉄を使っても嵐山迄のアクセスは便利であります。嵐山には京福のチンチン電車に乗って行きましたが、車内はほぼ満員で、殆どの乗客は旅行者のようでした。嵐山は、それはもう凄い人出でして、メインストリートの飲食店はどこも行列を作っていました。

私達はこの時期のお決まりのコースで天龍寺から竹林を散策しましたが、余りの混雑で普通に歩くことさえ出来ませんでした。

お目当ての紅葉ですが、北山地区を見る限り今年は赤茶けた葉が多く、正直余り期待していなかったのですが、予想に反して結構キレイでありました。

その後、渡月橋を渡り、対岸の阪急電鉄嵐山から最寄り駅に阪急で戻ってきました。意外だったのが中国人などの外国人旅行者がかなり見受けられたことです。外国人の入国には殆ど情報が無いのですが、どうなのでしょうね。

まあ、京都は沢山の旅行者で大賑わいであったのですが、あくまで今の処休日限定でありまして、ウィークデイは夜ともなるとガクッと人出は減るようです。まあ、コロナで人の流れは明らかに変わってしまいました。

 

皆さん、お変わりなくお過ごしでしょうか。

 

コロナによって世界の価値観や生活スタイルが大きく変わりました。当然日本でもそれは同様で、ここにきて日本の経済が根幹から変化していきそうな感じがします。10年以上、日本はデフレが続き、そのデフレを脱却し物価上昇することにより企業業績を上げ、雇用促進を果たし、個人所得を上げるということを目標にしてきました。その過程の中で生まれたのが所謂「アベノミクス」です。実は日本は「アベノミクス的」なことはバブル崩壊後ずっとやっていて、特に目新しい政策では有りません。要は、市中金利を下げて、お金を供給する金融緩和と公共事業で国がお金を使う財政投資というありきたりな政策を大砲レベルでなく「波動砲」レベルにしたのが「アベノミクス」です。ただ、この時日銀の本気度が「波動砲」レベルと半端で無く、市場の予想を遥かに上回るものだったものだからバブルが発生したのですね。何せ、国債をバンバン発行して日銀が買い上げることで

金利は下がるわ、市中にお金が放出された訳です。結果、株や不動産は上がるし円安になってトヨタやソニーなどの輸出大企業や金持ちは笑いが止まらない程儲かりました。しかしながら、バブルでラッキーパンチ的に上手くいった「アベノミクス」は成長戦略が無かったのです。だから日本の景気は良くならなかったし、国民は世界水準でドンドン貧しくなったのです。

日本という国は「腐っても鯛」、辛うじて未だに日本は豊かな国と言われています。その理由として、「日本がデフレである」ということが挙げられます。デフレというのは、簡単にいうと「物価が下がる」ことです。日本は国を挙げて「デフレ脱却」を目指しました。私は、前から不思議だったのですが「物の値段が下がる」ことが悪い事とは思えないのです。大体、QVCでは毎日最安値と言って安売りしているし、そりゃ、エーエルみたく良い材料を使用した商品を安く売ることはシンドイですよ。それでも企業努力で何とか出来ればメリットは有ります。50万円していたパソコンが10万円で買えるとか、牛丼が300円で食べれるとか、雇用が不安定で、給料が下がるのに税金が上がるとか、こんな状況で今迄何とかなってきたのは「デフレ」のお陰であると思いますね。まあ、この「物の値下がり」を悪と捉えたのが「アベノミクス」です。景気が良くなって、国民の所得が増えれば「インフレ=物の値上がり」は自然の流れですが、先に「物の値上がり」をさせれば「景気が良くなる」ことは絶対に無いと思います。

そんな何とかなってきた日本ですが、私は日本の未来に大きな不安を持っています。その不安の一つが「円安」です。この処「良い円安」と「悪い円安」があって今は「悪い円安」と言われています。基本、為替レートというのは「円安」しろ「円高」しろ、行き過ぎた為替レートが「悪い円安」であり「悪い円高」であると考えています。では皆さん、日本にとって「円安」と「円高」どちらが望ましいと思いますが。日本はトヨタやソニーに代表される貿易輸出国だから外国に商品を売りやすくて儲けが大きい「円安」が良いと思われる方が多いと思います。ところが、日本のGDP(国内総生産)の内、輸出産業が占める比率はたったの17%しかなく、残りの83%はサービス業などの非製造業なのです。日本の根底を支える中小企業においても製造業は53万社に対しサービス業などの非製造業は10倍の530万社も有るのです。ですから、原油や食品など様々な輸入品の値段が下がってくれる「適度な円高」の方が日本の景気の為には良いのです

翻って日本の現状を考えてみましょう。先ず、真っ先にヤバイのが原油や液化天然ガス価格の暴騰です。ガソリン価格の値上がりは勿論、冬場を控えて灯油や電力価格が上がり個人消費を圧迫します。当然、石油から製造しているようなプラスティックなどの素材の値上がりもこの処深刻な問題です。コロナによって多くの食品の供給が減少して、価格が上がっています。

そこにきて問題となっているのが「円安」です。私が社会に出てから約40余年、為替の基調は一貫して「円高」でありまして、もし大きく「円安」なった時に、日本には日銀の為替協調介入(ドルを売って円を買う)位しか術が無いのですね。

為替レートに関しては、あの東日本大震災の時さえも円高になった位、通貨としての世界の信用度は高いのですが、何故に今の円安に不安を感じるかと言うと、それはもう日本の国力が著しく低下していて、それに対する国としての対策が何もないと思うからです。コロナで世界全体が痛んでいる中、アメリカやヨーロッパがいち早く立ち直った時に、日本が今のままであるなら、世界から為替も国債も全ての資産が売られるかも知れないのです。日本は借金大国で、様々な赤字を国債で賄っている訳ですが、それが出来るのは、日本がゼロ金利に近いからに他ならないのです。コロナが終われば世界に待っているのはインフレです。今の日本も円安や商品市況の値上がりで、物の値段が上がりつつあり、インフレの兆しは間違いなく出ています、インフレを防ぐには太古の昔から金利アップしかないのですが、もし、1千数百兆円規模である日本の国債残高で数%金利が上がるだけで数十兆円の金利負担アップとなります。

多分、日本人の所得はこれからもたいして上がらないだろうから、景気が悪い中インフレになって物価があがることは最悪のシナリオです。日本がこんなお寒い状況になったら生き抜くこともシンドクなりそうですな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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