週刊柏﨑 第268回_派遣システムについて
と言っても、実は今週はずっと東京に出張していて、このブログも東京で書いています。
東京はとても暖かく、昨日、父の墓参りに行きましたが、天気も良くて助かりました。
12月早々、結構大手の弊社取引先が倒産してしまいました。
弊社も痛手を被りましたが、皆様に支えられて何とかやっておりますので、この年の瀬に放り出された取引先の社員さんたちを思うと、我々はまだ幸せなんだな、と考えてしまいます。
皆様お元気でお過ごしですか?
このところの新聞やテレビのニュースを観ると、トヨタ・ニッサン・イスズなどの自動車業界から、キャノン・パナソニックなどの日本を代表する業界の派遣社員のカットについての話題が大きく取り上げられています。この年も押し迫った中、いきなりクビ切りで、住む所まで放り出される派遣社員の方々には、同情を禁じえません。
しかしながら、小さいながらも企業の経営者としては、この大企業が取った措置というのは、経営者側から見ると当然といえば当然の行動といえます。エーエルジャパンでも、派遣社員という方を採用したことがありますが、そもそも1ヶ月あたりの人件費からみると、派遣社員の方が高くつきます。
しかしながら、経営者サイドとしては、派遣社員というのはあくまで季節的な、一時の仕事量に対する調整弁に過ぎないのです。派遣社員というのは正社員と違って、雇用面の調整が利く労働者という捉え方をしているのです。
私がいつも行っている銭湯に、立命館とか同志社の学生が来ていて、よくサウナの中で話をするのですが、彼らが以前、夏休みなどのまとまった休みがある時に、滋賀の山奥での派遣(有名企業です)にバイトとして行っていたのです。
彼らの話では、やはりそういう所には、結構年配者とか既婚者などの派遣社員が多数来ているのですが、企業側から、九州とかに行けば正社員に雇用するというオファーがあっても、誰一人として応じないという話を聞きました。
それは、今の派遣という仕事に皆安住しているというか、満足はしていないものの、何もアクションを起こさないといった状態だったのです。
立命館の学生も、もし就職できなくても、派遣で何とかなると、その当時言っていましたが、私は「その派遣社員として生活した場合、10年先とか20年先の自分を想像して、それが大学に入学した時の志と比べてどうか考えろと話すと、皆「派遣は止めておきます」と言っていたものです。
様々な雇用制度というものができ、その中で派遣社員というのは、労働者側にとって都合が良いもののように見えますが、実は経営者サイドだけに、確実に有利なシステムなのです。
日本は戦後から昭和期に、本当に良質な労働力によって、世界でもトップクラスの経済大国になったのです。そのシステムを支えたものは、終身雇用という、会社がいい時もそれほど良くはできないが、もしもの状況になっても、全員の雇用だけは死んでも守るという、約束事みたいな制度だったのです。
それが、規制緩和とか収入アップの為の転職とかいう甘言のもとに、知らない内にどんどん経営者サイドに即したシステムに変化していってしまったのです。今回のこの派遣社員カットについては、企業を責めることは出来ないと思います。
しかし、国がこういうシステムを作って、大企業よりの政策を作ったなら、少なくともこういう企業の集団カットは予想できたはず。ちゃんとしたセーフティネットを作るべきであると思うのです。今回の世界同時不況という状況を見て、こういう事があると、日本というのはいつも後手後手の対応しか出来ないわけで、どうして転ばぬ杖というか、こういう状況を予測した対応を前もって作ることが出来ないのかと、悲しくなってしまうのです。
12月もQVC出演が多く入っています。何卒よろしくお願いします。