第894回 弱い日本でいいのですか?

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京都では、週初めに久方ぶりに雨が降りまして、気温的には秋を一気に吹っ飛ばして冬モードに突入したようです。ただ、週央から天気は快晴になりまして、まさに「天高く馬肥える秋」と言えるような陽気です。朝晩は吐く息が白くなるほどですが、日中は、20℃以上になりますので体調管理は難しいですな。

緊急事態宣言が解除になった京都には、かなりの旅行者が訪れていますが、その中でもひときわ目を引くのが修学旅行生の多さです。二条城の駐車場は、久方ぶりに観光バスで一杯でして、ほぼ全てが修学旅行のものです。まあ、数年前の活況とまではいきませんが、京都の観光業界が盛り返していくのは嬉しいことです。

皆さん、お変わりなくお過ごしでしょうか。

10月31日日曜日は衆議院選挙ですが昨日期日前投票に行ってきました。私はこの木曜日と来週月曜日にQVCでオンエアが入っていますので選挙当日は京都に不在だからです。選挙は今迄の政権の通信簿の総括であり、国民が将来の日本の運営について唯一意思表示できる場です。若い世代の投票率がまだまだ低いようですが、皆さんには是非とも投票には行って欲しいですね。

皆さんは、今の政治に不満はありませんか?私はこんなお爺ちゃんですが、不満が一杯です。前にも何回もこのコラムで触れてきたことですが、何故に日本人はこんなに貧乏になってしまったのかということです。1980年代後半の日本が湧きたっていたバブル期を最前線で生きていた私からみると、今や現在の日本は見る影もありません。この30年、日本人の年収は全く増えていません。失業者こそ少ないですが、就業者に占める多くが派遣、非正規社員であって、その層の雇用は不定期で有り、収入も寧ろ低くなっているのが大きな要因です。多くの人が将来への明るい展望を持つことが出来ず、消費は減退してしまいます。世界から見ると日本の物価は安いです。所得が増えず購買力が無いのだから当たり前です。今では普通になった派遣や非正規社員ですが、以前は様々な規制で企業側からすると簡単には増やせない状況でありました。それを取っ払ったのが、小泉内閣の規制改革の新自由主義です。この頃から、いわゆる人材の口入屋(人材派遣)のコマーシャルがテレビで目立ちだして、今現在でも続いています。

企業側からすれば、良い時は増やせて、悪くなったら直ぐに切れる派遣や非正規社員は物凄く使い勝手よく、あっという間に増えた訳です。この雇用体制は、この後の民主党政権から今の安倍、菅、岸田政権になっても綿々と続いています。

この後、政権交代を成し遂げた民主党政権は基本やりっ放し政権であり、経済運営については殆ど何もしなかったと言えます。法人の税金は高く、為替は1ドル=80円位と超円高、株価も日経ダウも安値に放置し、結果デフレを進めたのです。政権末期の民主党はもうグタグタであって、選挙で大敗したのも当然の帰結でした。

それを一新してスタートしたが安倍政権です。金融当局は異常ともいえる低金利政策をとり。法人税を下げていく所謂「アベノミクス」を推進していきました。「アベノミクス」の目指したのは「トリクルダウン」です。「トリクルダウン」というのはシャンペンタワーのような仕組みで、金持ち層や大企業が儲かれば、その利益が上から溢れだして、下の層にも利益が注がれていくというものです。

結果為替は円安になり、トヨタなどの輸出大手企業は莫大な利益を上げ、株価や不動産などの資産価格もドンドン値上がりしました。当初の見込み通り大企業や金持ちのグラスには利益が溢れかえりました。それでも「トリクルダウン」はおきませんでした。「アベノミクス」は富める物を潤しましたが、下のグラスに利益が落ちて来ることはなかったのです。

当初「アベノミクス」は3本の矢を挙げ、その最大の矢として「日本の成長戦略」を掲げていました。結局「アベノミクス」は金利を超低金利にし、円安、株価などの資産価格を上げましたが「成長戦略」を具体的に掲げることも出来ませんでした。

私は、資産価格を上げたことは基本的に評価していますが、結果的にこれだけ金利を下げてもデフレを脱却出来ず、景気回復もままならないことには不満が残り、「アベノミクス」は基本的に失敗したと考えています。

そういう状況下、コロナというパンデミックが全世界を襲ったのです。コロナによるに世界経済に対する打撃は半端なものでは有りません。ただ、アメリカや中国、ドイツなどの国々はコロナ後の経済回復が顕著であり、その好調さに裏付けされた金利の上昇も始まっています。

岸田政権が始まってから、為替はドルには勿論、殆どの通貨に対して円安傾向であり、株価の戻りも遅いのですね。

日本が何故にこんなに弱くなってしまったかですが、私的には政治に責任があると思っています。先日テレビのニュース番組でもやっていましたが、今迄色々な政策が取られてきたわけですが、失敗することは自体は致し方ないことであることです。但し、失敗したなら、その政策を総括し反省しなくてはなりません。反省することにより改善策を打ち出すことが出来るのです。

良く言う「失敗は成功の始まり」こんな小学生でも知っていることを実行できないのが日本の政治です。

「アベノミクス」は良いことも、悪いこともあったのです。ここで政権与党が失敗したことを認め、反省し、改め改善するということが出来れば、日本はまだまだ立ち直れると私は思います。現政権でそれが出来ないのなら、はっきり言って変わるべきです。

但し、新しい政権が、それが出来るとは限りませんけどね。まあ、政権選択のポイントは全政党がマニュフェストとして訴える「花咲じじい的なお金のばら撒き」では無いと思います。

日本人のポテンシャルは捨てたものでは無いと考えます。あの1980年後半のバブル期にアタッシュケース一つ持って世界を駆け巡って(私の場合は香港〜台湾〜バンコク限定)いたジャパニーズビジネスマンは決してコマーシャル(リゲインの時任三郎氏)のフィクションの世界では有りません。あの頃、日本経済はアメリカのすぐ後ろ迄詰め寄っていたのです。

そんなジャパニーズビジネスマンは正直、メチャメチャモテました。髪の毛もフサフサで金回りも良かったですし。

私はもう66歳ですから、まあそんなに長くはありません。それでもウチの娘や息子はこれから日本の将来を現実として生きていかなくてはなりません。前の良い時代を知らないのだから、仕方ないでは済まされないと思うのですが、結構、能天気ですな。

 

 

 

 

 

 

 

 

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