週刊柏崎 第843回 「半沢直樹を観終わって」

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10月に入りまして、今年もあと3か月で終わりです。まあ、令和という新元号になりまして正直余り良い事が無いのですが、今年の残りの期間、なんとか無事に過ごせればと思っています。気候的には完全に秋モードでありまして、朝晩は寒いぐらいです。但し、昼間には気温がそれなりに上がりますので、寒暖差がかなり有りまして、油断していますと風邪をひいたりする人も多いようです。この時期、風邪をひきますと周りからは結構白い目で見られる訳で、私としては、しっかりとした体調管理を心掛けております。
最近、有名芸能人が何人も自ら命を絶ってしまっていますが、「生きていればこそ、浮かぶ瀬も有り」、私としては「死ぬこと以外かすり傷」、どんな事情があろうと生き抜くことが大切あると声を大にして言いたいことです。

皆さん、お変わりなくお過ごしでしょうか。

GOTOトラベルに続いてGOTOイーツがはじまりました。先週に最早経済が待ったなしの状況になった今、「ある程度のリスクには眼をつぶって経済のアクセルを踏むのは、やむ負えないことで、その代り、しっかりマスク着用やこまめな手洗いや消毒、ソーシャルデスタンスの徹底はしましょうね」とこのコラムで書きました。ただ、テレビなどを観て感じるのが、街中にいる方々がもうコロナは大丈夫というような感じを醸し出しているように思えるのです。現在、感染が凄い勢いで増えているヨーロッパや南米などの事情は何か他人事ですね。この新型コロナウィルスの対策というのは、まあ非常に分かり易く「他人と接しなければ減る、接すれば増える」というものです。ですからGOTOトラベルだろうがイーツだろうが、外出して人に多く接すれば必ず感染者は増えると考えるべきです。予防策はあくまで予防であって、それで感染者を全て防げる訳では有りません。
菅首相の肝いりの経済政策で、日本の携帯電話の通話料の引き下げの話が出ています。まあ、確かに日本の携帯電話にかかる費用は世界平均で高く、私個人としても携帯電話の費用が下がることには有難いと思っています。しかしながら、携帯電話の大手キャリアであるNTTドコモ、ソフトバンクグループ、auは、あくまで民間企業であります。

幾ら携帯電話の通話に国の回線を使って儲けているからと言って、上から目線で「お前らお国の回線を使って儲けすぎだから値下げしろ、さもないと回線使用料を上げんぞ」というのはちょっと酷いのではないかと思っております。少なくとも「回線使用料を下げるから、そっちもこれくらいは下げてね」というのが当たり前と考えます。大体、大手キャリアは莫大な資金を投資し、今の携帯電話のマーケットを築いてきた訳で有りまして、実際、今迄格安な料金で携帯市場に参入してきた業者と争い、勝ち残ってきて、今があるのです。私が、大手キャリアであるなら、今回の政府からの携帯料金の値下げは、国家権力からの強制であり、到底納得出来ることでは有りませんな。国として全く自分の腹を痛めずに、新政権の人気取りをしていると言っても過言では無いでしょう。それなら国民の為に「消費税の引き下げ」「高速道路料金の引き下げ」等、国の懐で国民の負担を減らすことが本当の国の政策ではないかと思うのですが。確かに、新型コロナウィルスによる様々な補助金、支援金で国の台所が大変なのは理解しますが、だからといって国の色々な無駄遣いを改めることなく、そのつけを民間に負わせるのはいかがなものかという事です。この後、ささやかれている新型コロナウィルス増税もしかり、国にお金が無くなったからと言って、簡単に国民からというのは堪りません。「私どもは断固として拒否いたします。(半沢直樹風にキリ!)」

令和になっての最高の人気ドラマ「半沢直樹」第二部が終了しました。この「半沢直樹」シリーズは池井戸潤氏の原作であります。原作を読んだ方はこの半沢直樹というドラマ、「全然原作と違うじゃん」と思うでしょう。まあ、池井戸潤氏もよくこれ程内容を変えられて何も言わなかったなと思いますな。大体第一部で不正を働いた香川氏演じる大和田常務を役員として中野渡頭取が残した時点で話に無理があります。ドラマ自体は半沢が出向させられた証券会社での企業買収をテーマにした「ロスジェネの逆襲」と帝国航空というフラッグキャリアの企業再生をテーマにした「銀翼のイカルス」という半沢直樹シリーズの大作2作をたった10話で完結させるという普通であれば考えられないような駆け抜け展開のドラマであります。主役の半沢直樹を演じる堺雅人氏は勿論、観ていて重要な役割を果たす複数の歌舞伎役者の大げさな台詞や立ち振る舞い、「そんなアホな」という無茶苦茶な展開の筋書きは寧ろ原作とは違った「新半沢直樹」として充分面白いドラマとして成立しています。「半沢直樹」というドラマは、前作から一貫して現代版「水戸黄門」でありまして、殆ど毎回悪事を働いた登場人物を土下座させるという勧善懲悪に徹した内容が日本人気質にマッチしている訳です。半沢直樹の前に立ちふさがる敵に追い詰められ、ハラハラドキドキするのですが、最後はどんでん返しで難題を解決し、強敵に勝利するという日本人が好むストーリーですな。
ただ、この「半沢直樹」という物語には、日本人が忘れてしまった「希望」「正義」「努力」といったことを私達に強く訴えていると思います。ドラマのクライマックスで半沢は言います。「今この国は大きな危機に見舞われています。航空業界だけではなく、ありとあらゆる業界が厳しい不況に苦しんでいる。それでも人々は必死に今を耐え忍び、苦難に負けまいと歯をくいしばり、懸命に日々を過ごしている」と。そして「この国で懸命に生きる人に、心の底から詫びてください」と謝罪を要求するのです。このクライマックスの台詞は私の心に刺さりましたね。
この今のコロナ禍で苦労し追い詰められている国民は正に必死にこの危機を乗り越えようとしているのです。こんな状況になろうと、全く生活に困らない政治家や官僚、そんな既に諦めに近い今の政治や行政機関を半沢直樹のような人物がぎゃふんとさせる、そんなことを考えて私は「半沢直樹」を眺めていました。

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