週刊柏﨑 第746回 安心な暮らしを願います

四国から近畿にかけて猛威を振るった台風21号ですが、日頃天災とは無縁の京都にも大きな傷跡を残しました。

直撃した火曜日は、関西ではJRや私鉄は朝からほぼ全線運休でありまして、唯一雨風の影響が無い市営地下鉄が平常運転していました。

当日は社員さん全員自宅待機で私と嫁のみ午前中出社しました。

朝方は「本当に大型の台風が来るの?」という位、天気が良く静かでありましたが、テレビで視る既に台風が上陸した高知のライブ映像から、今後京都にもかなりの影響があると思われました。

それでも京都は神の住む場所、先日の大型台風の時もほぼ無傷でありましたし、この台風21号もそれ程心配することは無いと結構安易に考えていました。

昼頃雨風が少し強くなってきたので、帰宅しまして、暫くテレビで台風の状況を視ていたのですが、不覚に寝入ってしまいました。

実は起きた時には、台風は既に京都を過ぎていまして、京都が暴風雨圏内にある時は、殆ど記憶が有りません。

夕方には、犬の散歩に出かけたのですが、まあ瓦やトタンがあちこちに散乱しているは、幹から折れている街路樹はあるはと台風の凄まじさを表しています。

これだけメディア等で避難や用心を呼び掛けても、犠牲者を無くすことは出来ませんでした。

天災の前では、本当に人間の力なんて無力です。

台風21号の被害に遭われた方々にはお見舞い申し上げると共に尊い命を落とされた方々には心からご冥福をお祈り致します。

時節柄、いつもの御挨拶は割愛させていただきます。

今迄、何回かこのコラムで書いてきたことですが、昔私が住んでいた香港という国は、台風の警報について独特な制度を用いていました。

(何せ30年近く昔の話なので今はどうなっているのか定かで有りません。)

香港という国は、ご存知の通り箱庭のような国でありまして、あの狭い国土に当時600万人が暮らしていました。

日本と違い地震が無い国なので、天災といえば台風でありまして、毎年台風で大きな被害を出していました。

地震がないので、簡単な基礎工事で建てた高層ビルが立ち並ぶ国、それが香港であるのです。

香港に台風が直撃すると、テレビの画面の隅に数字が出ます。

この数字をシグナルといいまして、私が香港駐在の時は、台風の大きさに合わせてシグナル3、5、8と三段階で表示されていました。

このシグナル8というのが発令されますと、地下鉄やタクシー、バスと交通手段は全て運休になりまして、銀行や証券会社、街の商店や会社は閉めてしまいます。

要は香港の動きが全て停止状態になるのです。

シグナル8が出た場合、街中をウロウロしていて、高層ビルから看板が落ちてきて大けがをしてしまっても、それは怪我をした人の責任になるという言わば外出禁令です。

ネットでチョット今のシグナル表示を検索してみたら、今は9や10迄あるのですね。

シグナル10の規制を見る限り、今のシグナル10が私がいた頃のシグナル8という感じでしょうか。

いずれにしても今回の関西の台風の被害状況を考えると、サマータイム制などという無用の制度を云々する前に、香港のような国の制度としての災害対策を講じる時に来ていると思います。

あの関空に通じる橋脚にぶつかったタンカーも無理やり関空に飛行機の燃料を運ばされた結果の事故ですし、そもそも全て止めてしまえばあのような無駄な事故は防げた筈です。

さて、大手企業の内部留保が446兆5000億円と過去最高となりました。

日本の大手企業の業績は良く、それでも従業員の給料をたいして上げていませんし、しかも政府は法人税の減税をしているのですから利益は貯金に回ります。

設備投資といったって大手企業の大部分は物が売れて儲かっているのでは無く、あくまで為替とかの外部要因で儲けを出しているのですから、そりゃ工場なんかは造りません。

簡単に考えれば、法人税を増税してしまえばいいと思うのですが、しないのです。

それで消費税をまた上げるそうですが、私は皆さんに問いたい!「本当にいいのですか」と。

何故、企業の業績が良くても日本の景気が良くならないのか?給料が上がっていないこともそうなんですが、給料から引かれるものが多すぎます。

税金や社会保険料は確実に増えています。

何年か前と同じ額面の給料だったら現在の手取りは大分少ないのです。

物価は上がっていないから、金利を下げてインフレにすると言う話ですが、食品の価格は上がっています。

エンゲル係数という景気に関連する統計があります。

このエンゲル係数というのは、国民がお金を使う中での食費の割合を表すものです。

いくら家計がしんどくても私達は、食べない訳にはいかないのですから、支出の中で食費を減らすのは最後の手段です。

ですからエンゲル係数が高いと言うのは、食費以外の教育とか趣味などにかける支出が少ないということで、一般にはエンゲル係数が高い程、暮らしに余裕が無く、民度も低いと言われています。

アメリカやヨーロッパなどの先進国はエンゲル係数が20%以下であります。

日本の場合、ここ数年エンゲル係数が上がっていて、今は26%位、因みに先進国の中では下位であります。

まあ、この数字だけで一概には日本の生活に余裕が無いとは言えませんが、多くの国民の感覚では暮らしがしんどいと感じているのではないかと思います。

来年度の、日本の一般会計予算の概算要求は過去最高の102兆円後半ということです。

日本の収入の大部分を占める税収は60兆円に満たない訳であります。

その不足分を赤字国債などで埋めるために、日本の借金は雪だるま式に膨らんでいるのです。

私は、今年で63歳になります。

もう年金を支給受けられる年代になりました。

ただ、今仕事を辞めた場合、将来の生活に対し不安はあります。

私の年代ですら、国の社会保障システムでは安心して暮らしていくことが難しいのですから、今のままでは、若い世代の方々は厳しい未来が待っていると言わざるを得ませんね。

政治のトップを決める今回の自民党の総裁選、その大きなポイントが正直、公正だというのだから私達の暮らしは良くなりそうもないと思うのは私だけでは無い筈です。

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