週刊柏﨑 第353回_ネグレクト

引き続き夏真っ盛り状態であります。日中に長時間外出するのは、もしかして行き倒れになるのではないかという不安に駆られることがあります。こんな感覚を持ったのは、今から約20年前、タイのバンコクに出張して外出したときに感じて以来ではないでしょうか。この日曜、本当に久しぶりに息子の野球の観戦に行き、その思いを一層強く持ちました。
こんな状況下にスポーツ観戦をするのは、もはやプレイなどではなく、修行に近いものがあります。思い起こせば私達が中学生の頃は、練習中は水を飲んではダメなんていう罰ゲームみたいな決まりがありましたが、水分補給の必要性を考えると、今ではよく命があったものだと思います。このところ夕方にドッカーンと降るゲリラ夕立でありますが、降った後は本当に涼しく感じます。
皆さんお元気でお過ごしですが。
 
私は常日頃、ニュース以外のTVは見ないのですが、先日銭湯のサウナ室で久しぶりにバラエティ番組を見ていて、あまりのヒドさに呆れてしまいました。その番組では「ムカツク有名人」という特集で、ようするに有名人のワーストランキングを発表して、ゲストパネラーがそれを茶化すというものなんですが、日本のテレビもここまで低俗になったかという印象しかないです。こんなことを学校のクラス内や会社の中でやったら、間違いなくイジメになります。酒場で友人同士が冗談で言い合うならまだしも、テレビという公共放送で茶化すことはないと私は思います。
話は変わりますが、私が通っているジムのトレーナーは通販マニアで、私の出演してるQVCのファンであります。当然、私のクロワールシリーズのオンエアは時間の許す限り観て下さっているのですが、彼の観察眼に「なるほど」と感じたことがあります。田代さんを始めとする一流ナビゲーターさんは、商品を説明していると、テレビから飛び出してきて、目の前で実演販売されているようで、知らない内に電話をしてしまうそうであります。確かに目の前で田代さんに「すごいでしょ!買いなさい。」と言われたら、多分どんなものも買ってしまいそうであります。
 
さて、このところの出来事を見て、一番怒りを覚えるのが児童の虐待事件であります。平成21年の児童虐待相談件は、過去最高の約44,200件で、集計を始めた平成2年度から19年連続で増加したそうであります。現在、虐待される子供をなんとか救おうと、平成20年に改正児童虐待防止法が施行され、虐待のおそれのある家庭に強制立ち入り調査が出来るようになりましたが、実際に行われたのは、たった1件にとどまりました。先週大阪で幼い姉妹が亡くなった事件でありますが、これはもはや虐待とかいうのを通り越して、れっきとした母親による実子の殺人であるといってもいいと思います。
少し前にあった、横浜の女児を木箱に入れて窒息死させた事件も同様で、もはやこの手の事件を見ても、「またか」という感じが持てないのです。ほとんどのこういった事件が、若くして結婚・出産した後離婚し、シングルになったり再婚して実の子に愛情を持てなくなって引き起こす事が多いようであります。
こういった時に、本当の父親である元夫であるとか、妻や夫の両親がヒドイとか可哀想だとかいって、マスコミに登場するのですが、はっきりいってこの人達も同罪です。
誰しも自分のことだけで精一杯で、他人のことなんて構ってられないというせちがらい世の中、せめて自分の血が通った親族に対して思いやりを持つ、人間以外の動物でも持っている心を、今の日本人は失ってしまったのでしょうか?かたや「消えた高齢者」であります。先週、東京都足立区で、生きていれば111歳になる男性のミイラ化した遺体が見つかった事件をきっかけにして、高齢者の所在が分からなくなっているケースが次々と判明しています。地方自治体が高齢者の生存確認を始めたところ、日本各地で100歳以上の高齢者の所在が70人以上確認できていないそうです。(2010年8月6日現在)
多分件数はまだまだ増えそうな感じです。高齢者の親族の言い分は、「数年前に出て行った」だの「数十年会ってない」とのことでありますが、私には本当のことと思えないのです。実際は足立区のケースのように亡くなられていることが分かっていたり、そうでなければ、うすうす死亡しているのではないかと感じていながら、「手続きが面倒である」とか「相続税が払えない」などの理由や、もっと悪質であるなら、死亡した親の年金を詐取する目的でほったらかしにしている理由もあると思うのです。
こういった今の現象を「ネグレクト」と呼んでいますが、ネグレクトとは元々「無視をする」という意味であります。親として子供としての責任放棄をこう呼んでいる訳でありますが、先週触れました自分の利につくことしか興味を持たない今の日本人は、本来強いキズナで結ばれている親子関係までも、損得で考えるようになってしまったのでしょうか。そして近年、プライバシーや個人情報の保護ということが叫ばれることによって、近隣住民の助け合いによって成り立っていた地域社会を崩壊させ、児童虐待や高齢者の生死に対する監視をする役目の公務員も、「ネグレクト」になってしまうのです。
こんな気の毒な事件を防止することも、ご高齢者の生死の確認も出来てなくて、少子化対策であるとか、世界一の長寿国なんて、お笑い種であります。新自由主義と称して、日本はすべてのことを自己責任とすることにしました。
確かに様々な利点はあったかもしれません。しかし、そのことによって、社会と人心は間違いなく荒廃してしまっのではないでしょうか。私には力はありませんが、何かあったら相談してくださいね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

コメントする