週刊柏﨑 第273回_マグロとフェラーリ

2009年、早くも1週間が過ぎました。こんな感じで1年間あっという間に過ぎるんだなと思うと、なんか本当に恐くなる時があります。私も今年で54歳になり、完全に「おじいさん」と呼ばれる年齢になります。気持ちはいつまでも若いという気があるのですが、確実に老いているのです。その反面、どうせこの年になったのだったら、いっそ早く年金をもらいたいという訳の解らない願望もあります。皆様お元気でお過ごしでしょうか。
テレビでは相変わらず派遣切りの問題が大きく報道されていて、年末から民間NPOが作ったテント村で正月を過ごした人も多かった様です。(何で国が主体で動かないのでしょうか)私の後輩で、日本で外国人労働者を派遣する商売をしている方がいます。昨年末に会った時、「派遣先がなくて大変だろ?」と尋ねたところ、彼が言うには、「派遣先はいくらでもあって、今でも人手が足りない」というのです。
一体どういう仕事に人手が足りないかと言うと、農業、畜産業、それに造船業界だというのです。特に農業や畜産(養豚)はいくら求人を打っても、応募がほとんどなくて、人手を揃える事が難しいというのです。やはり、以前にもこのコラムで書きましたが、輸出関連からあぶれた労働力は、食料分野に振り向けるべきだという事が証明されたと思います。まあ、元派遣労働者が楽でカッコイイ仕事にこだわるなら今の状態は受け入れるべきですが。老後は農民か漁師になりたいと思っている柏崎でございます。(周りからは絶対無理と言われています)
 
さて、今週の築地市場のマグロの初セリで、本マグロが1本1000万円近くでせり落とされたという記事が報道されました。なんでも東京の有名鮨店と、例の香港の鮨王がその最高級マグロを共同購入したということで、キロあたり7万円になるそうです。香港でそんな高級なマグロが食べられるとは、私が1980年代後半に香港に駐在した当時を思うと、少し信じられない気がします。その頃の香港でも鮨と言えば、シャングリラ(なだ万)などの高級ホテルや、そごう(金田中)やランドマーク(弁慶)などで、それなりの鮨は食べられましたが、普通の香港人はその頃、香港にその当時初めて出来た回転ずしで鮨を食べていました。
私も当時、何回か行った事がありますが、その頃の香港人は、なんとサーモンばかりを食べていました。回転ベルトに乗っている皿は60%以上がオレンジ色のサーモンで、よくサーモンばかり食べて飽きないなぁと思った位です。それが今は、日本と同じような鮨を香港人(一部の金持ちだけ)が食べているなんて不思議です。
また、残りのマグロをシェアした銀座の高級鮨店では、その日1人前25,000円の限定メニューとしてその残りのマグロを出したそうですが、あっという間に売り切れたそうです。
 
話は回り道しましたが、何が言いたいかというと、日本でも香港でも大不況と言われている中、こんなバカ高い鮨を平気で食べる金持ちはいるのです。フェラーリというイタリアのスーパーカーのメーカーは、誰もがご存知とは思いますが、世界のトヨタやGMが赤字になる中、フェラーリは今年も最高益を更新するそうです。これは、このフェラーリという会社の戦略にあります。
フェラーリは1台、何千万もする高級車です。しかし、F1レースなどでのイメージアップと、超高級ブランド化で、世界中にはヤリが降ろうと大地震が起ころうと、何があってもフェラーリを購入する顧客が1年間で必ず6,000人いるのです。フェラーリは必ずこの車を購入する6,000人=6,000台で利益が上がるように会社を経営しているのです。ですから、世界中でフェラーリを買う物好きが増えればその分だけ業績が上がっていくのです。そう考えるとホンダが金食い虫として撤退したF1も、フェラーリにとってはとても大事な広告行為なのです。
ラックスマンやマランツというオーディオメーカーがあり、ここの50万円近いアンプはやはり数百人の必ず購入する顧客によって支持され、経営もなんとか成り立っていたのです。しかし、そういう金持ちのマニア顧客は、年輩者でどんどん減少していく・・。その時、フェラーリのF1でのイメージアップのような、新たな顧客を創出しないと、企業は衰退してしまうのです。
私はエーエルジャパンをフェラーリと同じ様な戦略を持った会社にしたいと思っています。(思いあがりですいません)何があっても、クロワールシリーズを使っていただくお客様に支えられ、そしてQVCさんに出演することで新たな顧客を創出する、スケールは違いますが、そんなイメージを持っています。

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