週刊柏﨑 第513回_オリンピック招致と日本の安全性

今週は日本の至る地域で大雨が降ったり、
竜巻が発生したり各地で大きな被害がでました。

京都でも同様、大雨が降りましたが、私が知る限りでは幸い洪水や浸水などの被害がでなかった模様でありまして、落雷で一部地域が停電になったぐらいでラッキーでありました。それにしても、あの軌道を外したような大雨は、何回も言いますが、日本ではないような気がします。

なにせ、今週に降った雨はどこも一日でいつもの一カ月分に相当するというのですから、そりゃ、想定外のことも起きますな。それに今週は関東地方で竜巻の被害が出ています。昔、「ツイスター」という大竜巻を題材にしたアメリカ映画を観たことがありますが、日本ではありえないと思っていた出来事が、もう現実に私達の生活や命を脅かすのですから大変です。

この雨の影響でここのところ本当に涼しいのですが、今年の夏はやはり30年に一度という位暑い、猛暑であったということです。ただし、多分来年も再来年もこういう昔では考えられない陽気が続くのだと思います。被害に遭われた方にはお気の毒としか言いようがないのですが、気温がいくらか下がって、水不足が解消されたということがせめても救いです。私達は、これからも自然災害に翻弄されて行かなくてはならないのですが、備えることは、しっかりしていきましょうね。

皆さん、お変わりなくお過ごしでしょうか。

あと数日でリオの次のオリンピック開催地が決まります。今回、東京、イスタンブール、マドリッドと3候補都市が争っている訳でありますが、いまのところ東京が一歩リードしているということです。しかしながら、先週このコラムで触れましたが、海外メディアから、福島原発の汚染水が問題視されてきて、雲行きが怪しくなっている模様であります。日本サイドとしては、公の海外プレスとの質疑応答でさかんに東京の安全性をアピールしていますが、多分信用はして貰えないと思います。確かに開催はまだ7年も先の話です。しかしながら、私が見たって2011年に起きた原発事故から何一つ状況は変わっていないような気がしますし、今の東電や日本政府の取り組み方で福島原発の状況が改善するとは考えづらいのです。

例えば、私がテレビに出て、「このクロワール商品は安全で安心ですよ」と皆さんに言及しようとすれば、その安全、安心を裏付けするデータ所謂エビデンスをテレビ局に提出しなければなりません。もし、何のエビデンスも出さずに「安全、安心」と商品の売り込みをすれば、優良誤認や景品表示法違反になり罰せられることになります。今のオリンピック招致委員会のやっていることは、まさにそういうことではないでしょうか?放射能や汚染水問題で東京が大丈夫というデータを出さないで「東京と福島は250キロ(220キロですが)離れているので安全で安心なんですよ」と言っているのであって、これで安全、安心なんて信じて貰えないでしょ。

大体、日本地図で見れば、結構福島は遠い場所ですが、外人は世界地図ですよ。東京―福島は世界地図上では、5ミリ位の距離でしかありません。ここにきて、日本政府は、福島の汚染水処理の為に多額の費用をかけることを決めました。これはこれで大変良い事だと思いますが、以前とは打って変わって東京オリンピック招致に熱くなっている安倍総理が誘致の為に対外メンツで決めた事だったら「なんだかな」という感じです。

それでも、ここのところアベノミクスのメッキが剥がれて、唯一の成果の株高を支えてきた海外からの投資が激減している現実を考えると、第4の矢と言われているオリンピック特需は未だにぱっとしない日本の景気を活性化させ、再び海外からの投資を呼び起こし、ここからの株高を可能にすることに必要であるのです。裏っかえせば、もし東京オリンピック招致に失敗すれば、逆に株は売られ、特需は無くなり、景気の腰を折ることは間違いなく、課題の消費税の増税もとん挫し、安倍政権もダメになる可能性もあると思います。まあ、そうでもなかったら、わざわざ、ロシアでやっているG20を途中で切り上げ、地球の裏側のアルゼンチンにいかんでしょ。しかも演説するっていうし、毎日その演説の練習しているっていうし。

必死ですね。

ただ、多分演説の中で触れられる福島の汚染水問題の処理はオリンピックを東京で開催する為の外国にむけての必要条件になりますから国民にとってはいいことかも知れませんね。安倍総理は、オバマ大統領のシリア攻撃の是非について、理解を示したものの、あくまで国連の決定を重視すべきとして、あいまいな返答をしました。これも話によるとオリンピックの投票権を持つ、シリア攻撃に反対するロシアなどヨーロッパやアフリカの心証を良くしたいが為の発言と言われています。私が思うに、オバマさんは今本当にシリアの件で窮地に立たされていて、同盟国のイギリスだけではなく、おひざ元のアメリカ国内からも支持を仰げない状況であります。

安倍総理は就任時、訪米した際、共同会見や晩さん会も開いて貰えなかった程冷遇されていたのです。どうせ従米政策は変えようがないし、日米安保も必要な訳でありますから、ここで安倍総理はオバマ大統領に恩をうるべきなのかもしれません。そりゃ、戦争をすることは、どんな理由があるにしても賛成は出来ません。しかし、ニュースで見る限りは、シリア政府は無差別に人民の命を奪っているテロみたいなものであり、政府施設に限った攻撃であればやむを得ないかもしれません。小泉前総理がただ一つ優れていたのは、勝負するタイミングの嗅覚だと考えています。

結果はともかく、イラク進行を決めた当時のブッシュ大統領にあの名言である「ショウ、ザ、フラッグ」「ブーツ、オン、ザ、グランド」と何も説明を求めず支持したことは、確実にその後の対米外交を良好にしたし、あれだけ安定した政権を築けたのです。今の安倍総理を見る限りスタンスが余りに八方美人的でどの大国にもいい顔をし過ぎているように思います。

正しいか間違っているかはともかく、
私だったら多分今のオバマ大統領を何も言わず支持すると思います。

それが、将来の日本の外交や経済問題にプラスになると思うし、
今後やりようによっては、
従米から逸脱するチャンスだと考えています。

ここは勝負どころでありますよ。

柏崎

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