週刊柏﨑 第417回_世界の経済
天高く馬肥ゆる秋、まさにこの言葉がピッタリの季節になりました。全国的に天候に恵まれて、昼間は汗ばむくらいの陽気であります。京都は観光シーズン真っ盛りという感じで、市内は他府県ナンバーの車が目立ちます。観光名所では夜間のライトアップをする処が増えてきています。このライトアップをするだけで、紅葉がとっても綺麗に見えるような気がします。後2ヶ月で今年も終わりなのですが、本当に一年あっという間であります。多分、この歳になると、毎年今ぐらいの時期には同じことを考えるのだと思います。このコラムを書くようになってから信じられないことに8年近くになります。思い起こすと確かに一年はあっという間、とずっと書いているような気がします。かと言って、毎年様々なことが起こっていることも事実で、特に今年は大震災やそれに伴う津波、原発事故と日本にとって本当に災いの年であったかもしれません。しかしながら、私達は好む、好まざるを関わらず、未来に向けて生きていかなければなりません。頑張りましょう。
今年一年を表す言葉でありますが、以前「災」しかないと、このコラムで書きましたが、数年前にすでに使われておりまして、私の予想は日本人が持つ優しさと、思いやりを考えて、「絆」に変更させて頂きます。
皆さまお元気でお過ごしでしょうか。
タイでは洪水の被害が本当に長期化しています。日本のゆかりの地、アユタヤ近辺のタイ中部がチャオプラヤ川の洪水によって浸水し、この付近の工業団地に進出している日系企業に大きな被害が出たことは、皆さんご存知であると思います。この洪水がとうとうバンコクにまで押し寄せてきて、市内が浸水しているようです。大河川というのは、下流と上流で大きな高低差があるものであります。例えば、日本で一番長い川である信濃川の場合、河口からみると、上流部は4~500メートルという高さがあり、この高低差によって、川の水が海に流れ易くなっています。ところが、このチャオプラヤ川、下流と上流の高低差が数メートルしかないのです。
要するに、チャオプラヤ川は、川というよりも長く、巨大な池という感じですので長期間に渡ってどんどん水嵩が増しているのです。実はバンコクという街は、至るところで洪水による浸水が雨季の季節には日常的に起こっているのです。ですから、テレビでみるバンコク市民が浸水していても全然動じないは当たり前です。それでも、これだけ浸水が長期間に渡って続くことは余り無かったと思いますので衛生面など今後が心配であります。事実、富裕層は日本など外国に避難を始めているようであります。地震による大被害があったトルコやタイのどちらも東北大震災の際には日本に対して大きな援助をしてくれた、親日国であります。私達で出来ることはしっかりやらなくてはなりません。
さて、全世界の人口が今週、70億人を突破したということです。ここ近年の人口の増加には目を見張るものがあります。その中で、中国が14億人、インドが12億人と約40パーセントがこの両国で占められます。その他、人口が増えているのは、アフリカや南米、東南アジアなどが顕著であり、逆に日本やヨーロッパなど、先進国は人口が減少しています。このような、発展途上国の人口が増えているということはそれだけ豊かになっているということであると思います。
今、様々な議論がされているTPPでありますが、誰が見ても、アメリカのエゴとしかとれません。農業の問題ばかりがクローズアップされていますが、正直、農産物はそれほど大きなパイとは思えません。私はその後に控えている医療、保険、金融などがかなりの確率でアメリカのターゲットになるのではないかと考えています。この世界の人口の分布を考慮すれば、今アメリカの餌食になることが明白であるTPPに参加するよりは、躍進目覚ましいこういった国と個別にFTAを結ぶほうが正しいと思います。
それに、未だ天井知らずの円高でありますが、先日興味深い記事を見つけました。
2006年、1ドル115円というレベルであった時です。その時のアメリカのドルの発行量は1000であり、日本の円の発行量は50でありました。それが、2011年現在、ドルの発行量は3300と3倍以上になっているのに、円は55と一割しか増えていないというのです。約5年間、アメリカはドルを刷り続けることによって、なんとか成り立ってきたのです。この現実がある以上、円高になるのは、当然の話であって、それも通貨の発行量からみれば、円はまだまだ過小評価であって、ドルの発行量の増加率からみれば、円は40円以下になっても不思議ではないというのです。アメリカはドルをどんどん刷ってそれを元手に金融市場で博打を打ち続け、そのドルを文句も言わず買ったのが日本であるのです。今やその額は300兆以上といわれています。この対外資産はほとんどがドルでもっています。ですから日本がアメリカ程でなくとも、せめて55の円の発行量を100位にするべきなのです。1ドル100円位まで戻れば、300兆円分のドルは自動的に400兆円の評価になるのです。
TPPによって撤廃されるアメリカに車や電化製品にかかる関税など、せいぜい5~10パーセント位なものです。為替さえ戻れば、そんな関税など痛くも痒くもありません。日本とギリシャを比較する人がいますが、これもナンセンスであります。ギリシャが国債を外国に買って貰っている以上、何をどうしようと、資金の出し手の意向には従うのが常識であります。しかしながら、ギリシャのケースはそもそもユーロにギリシャを入れたのが間違いなのです。もはや後戻りは出来ません。
ドイツやフランスにとって、ギリシャの問題がイタリヤやスペインに飛び火するのが一番恐れているシナリオです。それにしても、どこの世界もお金は借りた方が強いです。しかもお金が全く無いというのは最強です。
今年一年を表す言葉でありますが、以前「災」しかないと、このコラムで書きましたが、数年前にすでに使われておりまして、私の予想は日本人が持つ優しさと、思いやりを考えて、「絆」に変更させて頂きます。
皆さまお元気でお過ごしでしょうか。
タイでは洪水の被害が本当に長期化しています。日本のゆかりの地、アユタヤ近辺のタイ中部がチャオプラヤ川の洪水によって浸水し、この付近の工業団地に進出している日系企業に大きな被害が出たことは、皆さんご存知であると思います。この洪水がとうとうバンコクにまで押し寄せてきて、市内が浸水しているようです。大河川というのは、下流と上流で大きな高低差があるものであります。例えば、日本で一番長い川である信濃川の場合、河口からみると、上流部は4~500メートルという高さがあり、この高低差によって、川の水が海に流れ易くなっています。ところが、このチャオプラヤ川、下流と上流の高低差が数メートルしかないのです。
要するに、チャオプラヤ川は、川というよりも長く、巨大な池という感じですので長期間に渡ってどんどん水嵩が増しているのです。実はバンコクという街は、至るところで洪水による浸水が雨季の季節には日常的に起こっているのです。ですから、テレビでみるバンコク市民が浸水していても全然動じないは当たり前です。それでも、これだけ浸水が長期間に渡って続くことは余り無かったと思いますので衛生面など今後が心配であります。事実、富裕層は日本など外国に避難を始めているようであります。地震による大被害があったトルコやタイのどちらも東北大震災の際には日本に対して大きな援助をしてくれた、親日国であります。私達で出来ることはしっかりやらなくてはなりません。
さて、全世界の人口が今週、70億人を突破したということです。ここ近年の人口の増加には目を見張るものがあります。その中で、中国が14億人、インドが12億人と約40パーセントがこの両国で占められます。その他、人口が増えているのは、アフリカや南米、東南アジアなどが顕著であり、逆に日本やヨーロッパなど、先進国は人口が減少しています。このような、発展途上国の人口が増えているということはそれだけ豊かになっているということであると思います。
今、様々な議論がされているTPPでありますが、誰が見ても、アメリカのエゴとしかとれません。農業の問題ばかりがクローズアップされていますが、正直、農産物はそれほど大きなパイとは思えません。私はその後に控えている医療、保険、金融などがかなりの確率でアメリカのターゲットになるのではないかと考えています。この世界の人口の分布を考慮すれば、今アメリカの餌食になることが明白であるTPPに参加するよりは、躍進目覚ましいこういった国と個別にFTAを結ぶほうが正しいと思います。
それに、未だ天井知らずの円高でありますが、先日興味深い記事を見つけました。
2006年、1ドル115円というレベルであった時です。その時のアメリカのドルの発行量は1000であり、日本の円の発行量は50でありました。それが、2011年現在、ドルの発行量は3300と3倍以上になっているのに、円は55と一割しか増えていないというのです。約5年間、アメリカはドルを刷り続けることによって、なんとか成り立ってきたのです。この現実がある以上、円高になるのは、当然の話であって、それも通貨の発行量からみれば、円はまだまだ過小評価であって、ドルの発行量の増加率からみれば、円は40円以下になっても不思議ではないというのです。アメリカはドルをどんどん刷ってそれを元手に金融市場で博打を打ち続け、そのドルを文句も言わず買ったのが日本であるのです。今やその額は300兆以上といわれています。この対外資産はほとんどがドルでもっています。ですから日本がアメリカ程でなくとも、せめて55の円の発行量を100位にするべきなのです。1ドル100円位まで戻れば、300兆円分のドルは自動的に400兆円の評価になるのです。
TPPによって撤廃されるアメリカに車や電化製品にかかる関税など、せいぜい5~10パーセント位なものです。為替さえ戻れば、そんな関税など痛くも痒くもありません。日本とギリシャを比較する人がいますが、これもナンセンスであります。ギリシャが国債を外国に買って貰っている以上、何をどうしようと、資金の出し手の意向には従うのが常識であります。しかしながら、ギリシャのケースはそもそもユーロにギリシャを入れたのが間違いなのです。もはや後戻りは出来ません。
ドイツやフランスにとって、ギリシャの問題がイタリヤやスペインに飛び火するのが一番恐れているシナリオです。それにしても、どこの世界もお金は借りた方が強いです。しかもお金が全く無いというのは最強です。