週刊柏﨑 第568回_自然の恐ろしさ、若者達へ
ここの処、過ごし易い日が続いています。近年は、夏が余りの猛暑であって、9月位まで残暑が長引き、秋という季節を感じないまま冬になっていた感があったのですが、今年は久しぶりに秋を感じています。ただ、台風が発生していまして、週末にかけては天候が崩れるようであります。先週末、あの有名な木曽の御嶽山で噴火がありまして、登山に訪れていた方々が被害に遭いました。頂上近くは、紅葉真っ盛りであって木々が綺麗に色づいていたのですが、噴火で吹き出した粉塵や火山灰によって一面覆われてしまいました。有毒ガス出ているところもあるようです。今なお、行方不明になっている方がいますし、山頂から救出されていない方もいます。雨が降れば、当然降り積もった火山灰が土石流となって流れる恐れもありますから、二次災害が出ないようにただただ祈るだけであります。
以前から日本語能力について色々言われてきた現副首相が「御嶽山の噴火で亡くなった方々に、激励申し上げます。」と発言したそうでありますが、呆れるというより悲しくなってしましますね。
悲運にも尊い命を落とした方々に対し、お悔やみ申し上げると共にご冥福をお祈りいたします。
現在日本には、活火山が110ありまして、気象庁はそのうちの噴火で被害のでる恐れがある47火山を24時間体制で監視しています。またその47火山の内でも特に活動が活発とされている23火山がありまして、実は御嶽山はその一つでありました。気象庁の「火山噴火予知連絡会」は今回の噴火を予測が不可能であるとして「想定外」と言いました。以前このコラムで触れました25年前の雲仙普賢岳の噴火の時は、予兆はあったのですね。当時香港駐在員の後輩がたまたまホームリーブという休暇で雲仙温泉に行った際、温泉が70度近くになってしまって、温泉に行ったのに、温泉に全く入ることが出来なかったとその後輩が香港に戻ってきてオフィスで話をした翌日に爆発したのですね。あの時の噴火はマグマが火砕流となりまして海にまで流れて、普賢岳の集落に大きな被害が出ましたが、後で考えてみれば、マグマの影響で雲仙温泉の温泉温度が急上昇してという予兆があった訳であります。今回の御嶽山は水蒸気噴火でありまして、マグマの影響があまりなかった為に、岐阜側の麓に位置する下呂温泉に影響が出なかったかもしれません。そもそも日本人には本当に人気のある温泉というのは、火山活動の産物でありますので、温泉として有名な観光名所はどこもそれなりのリスクがあります。
皆さんのくだりは時節柄割愛させて頂きます。
こういう自然災害がありますといつも同じことを書いていますが、我々人間は大自然の前ではあまりに無力であります。自然が引き起こすことを「想定」することはある程度までは出来ても、完全には絶対に不可能であるのです。こういう自然災害に巻き込まれることは、誰にでもある訳であります。リスクがあるといって外出しなくても家が土石流や土砂崩れに巻き込まれることだってあるのです。こうなると最後に行きつくのは運命としかいえないのですが、まあ、深く考えないことしかないですけどね。但し、原発のような施設は「想定」出来ないなら動かすべきではないし、造るべきではもちろんありません。
さて、香港が民主化を求めて大騒ぎになっているのですが、私の個人的見解でいえば、「日本の若者たち、香港の若者の爪の垢でも煎じろよ」というところでしょうか。こちらも今を去る事25年前でありますが、天安門事件が起こりまして、北京の天安門に集まった学生を中心とした若者を中国政府は戦車や銃によって鎮圧しまして多数の死傷者を出したのです。その時真っ先に抗議活動をしたのが香港でありまして、若者を中心に行われた抗議デモ、それは凄いものでありました。なんせ、人口600万人の香港でデモに参加したのが200万人であります。日本なら4000万人ですよ、本当に私はあれから今日までこんなデモはみたことがありません。私はその時このデモを香港でライブにて見ておりまして、香港人の怒りを肌身で感じましたし。それと同時にイギリスから中国に返還になる変革に対する恐れを感じました。
実際、私が勤務していた金融機関の香港事務所のローカルスタッフは4人、カナダに移住してしまいました。その後、1997年に香港は中国に返還された訳でありましたが、香港が中国のような社会主義になることは無く、それまでの香港のシステムが継承されたのです。あのカナダに移住した香港人はやはり外国での生活になじめず、殆どが香港に帰国したそうであります。あれから25年、私達外国人からみれば、今も香港は資本主義であり、昔と全く変わってないように思えるのですが、政治的にはやはり中国ナイズされていたのですね。政治に関与している偉い人は、全部、中国本土から派遣された人か、中国の息がかかった人ですね。そして、選挙で選ぶのは末端の議員さんだけで、こういう国政や法律を創るような人は、選挙はしません。まあ、当然の話で、選挙したら中国は香港をコントロール出来ません。それで、香港は今各地でデモであります。以前ほどではありませんが、今回も20万人、凄いです。香港の中国寄りの偉い人は、中国政府に武力で排除するように要請した模様ですが、アメリカがオバマ大統領を初めに国を挙げて香港の民主化を指示した為に、中国は動けません。ウクライナと同じようと思うかもしれませんが、中国はロシア程強くはありません。習近平体制は弱いです。プーチンのロシア内での支持率は80%を超えています。もし天安門事件のようなことをしでかしたら。多分中国は破たんします。中国は既に経済は資本主義であり、西側諸国の経済制裁には耐えられません。このデモをテレビで観る限りほとんどが若者であります。日本も昔は若者が、決起して日本を変えようとした時代もあったのですね。でも今の日本の若者はおとなしいというか、何もしませんね。せいぜいサッカー、ワールドカップの後に、繁華街で騒ぐ位です。香港はやりますね。10年後、どっちの国が勢いがあるか、うーん考えちゃいます。安倍首相が「日本を取り戻す」とか言っていますが。まず、国を思う情熱を養うことが大切と思います。先日、原発の再稼働反対のデモや沖縄辺野古基地移転反対のデモがお年寄りばかりなのをみると尚更そう考えます。日本人のポテンシャルは、決して香港人に劣る訳ではありません。香港人は、利己的であり勝手気ままという印象がありますし、昔から香港人だけで国を統治してきたことがありません。それでいて今回のようなアクションを起こすのですから、「日本の若者奮い立て。」と切実に思いますね。