週刊柏﨑 第552回_天安門事件から25年

先週末から降った雨でありますが、梅雨の概念を吹き飛ばすような降雨量でありました。各地で六月一か月の降雨量をこの数日でオーバーしたというのだから凄い雨であったのです。心配していた通り、この雨は各地で大きな被害をもたらした模様で、不幸にも被害に遭われた方々には心からお見舞い申し上げます。

私は、ご存知の通り、先週末からQVCさんのベストセラーのイベントの為に関東に出張しておりまして、あの、ずぅーと、降り続く雨に閉口した訳でありまして、特にNアセチルグルコサミンの資料を探しに行った国会図書館の帰りに思い切り大雨にたたられまして全身びしょ濡れになってしまいました。まあ、このところの異常気象には慣れっこになっていますが、それでも沖縄より北海道の気温が高いなんて可笑しいでしょ。いつも言っていますが、何か自然災害の前触れで無いことを祈るだけでありますな。

皆さん、お変わりなく元気でお過ごしでしょうか。

QVCさんでのベストセラー、本当に有難うございます。
去年の暮れのベストセラーでソールドアウトになったので、今回はかなりセット数を増やしたのですが、ほぼなくなってしまいました。これも一重に皆さんのおかげであり、厚く御礼申し上げる次第であります。消費税の増税にも拘わらず、今回の価格は、殆ど増税前の価格で提供しましたので、かなりきつかったのですが、ここは田代ナビに言った通り心意気であります。

番組を担当して頂いた芝尚子ナビ、そしてクロワールの女神こと田代ナビ有難う御座いました。やっぱりクロワールを毎日使って下さっていると説得力がちがいますな。

この6月4日であの中国天安門事件から25年経ちました。
実は25年前の6月4日は私が香港に駐在員として赴任した日であり、そのことと相まってこの天安門事件というのは、結構鮮明に記憶にある訳であります。日本がバブルで沸き返っていた1989年に当時の胡耀邦総書記が亡くなり、それをきっかけに6月4日、中国の民主化を求めて立ち上がった数十万人という学生や市民を中国人民解放軍が武力により排除したのが世に言う天安門事件であります。天安門に集まった人たちは、何もテロ行為や暴力行為をした訳でではありませんでしたが、軍は参加者に向けて無差別に発砲したばかりか、戦車でひき殺すなどそれは酷いものであったのです。

私が驚いたのは、その天安門事件ではなく、その直後に香港で行われた抗議集会でした。その当時香港の人口は600万人であったのですが、デモに参加したのはなんと200万人、香港島の上還スターフェリー乗り場からハッピーバレー競馬場まで抗議デモ行進は、それは延々と続いたのです。私は今迄こんな大規模のデモを見たことがありません。あの完全にノンポリのノーマン君も参加していたそうでありますから、中国社会にとって衝撃的な事件であったのですね。私が思うにあの時が、本当の意味で中国が民主化出来る唯一のチャンスであったと思います。

だからこそ旧体制側はあんな行動に出たのでしょうね。25年後の当日、香港では18万人という人が追悼集会に集まったようでありますが、今は香港も中国領土であります。まあ、その25年間で中国の経済はGDPで33倍になり、日本はわずか15%しか伸びていない訳で、「なんだかなー」という感じですな。

さて、ここのところ私の中では何かモヤモヤしたものがありまして、それが、今現在日本の景気が良いのか、悪いかということであります。私はこういう消費者と直接接するビジネスをしていますし、同じようなビジネスを営んでいる友人も多いのですね。消費税増税が施行されて、2か月程経過して、ここのところ政府や大手メディアから景気についての見通しや、現状について報道されている訳でありますが、どれも物凄く楽観的なものであって、およそ我々の景況感と違うのです。消費税アップ分を現行の価格に乗せることは、はっきり言って口で言う程たやすくはありません。実際消費税を乗せて価格をあげた業者は軒並み売り上げを落としています。

基本今は、物が溢れかえっている訳で、消費者が財布の紐を少し絞めただけで、我々零細企業は万歳であります。確かに、勤労者世帯の実収入は7,1%減(対前年同月比)で7か月連続減、それに引き換え消費者物価指数は3,2%増(同)でこちらは、23年ぶりの上げ幅であります。要は、収入が減っているところに、円安によるコストアップと消費税増税が襲ったのですから、いいはず無いですよね。実際、エーエルにも3月の駆け込みがありましたし、様々な業種で駆け込み需要がありました。しかしながら、4月は勿論、今現在でも需要は戻っていないのです。

あるシンクタンクが今回の消費税増税と前回97年の消費税増税を家計収支比較しているのですが、底堅いと思っていた食料や住居、家具家庭用品、交通通信など、はるかに今回の増税の方が落ち込みは大きいのです。確かに上場しているような大手企業の決算発表はかなり好調のようなので、大企業の視点で見れば今の日本の景況感はいいのでしょうね。

大体、庶民サイドとしていつも疑問に思うのが、デフレが悪で、インフレが良いという考え方であります。デフレというのは、物の値段が下がることであります。またインフレというのは物の値段が上がるという事です。果たして物の値段が下がることより、上がる方が良いのかということであります。かつて日本が高度成長期であった時は、インフレで物の値段が上がりました。しかしそれに伴い国民の収入が上がり、値段が高くなっても物が売れるという好循環であったのですね。今のインフレというのは、円安や増税でコストが上がるという、全く消費者サイドの需要でないのに物価が上がるという、一番いけないインフレ=スタグフレーション(不況下のインフレ)であると思うのです。
前にも書きましたが、テレビで、みのもんた氏が、盛んにデフレは悪でインフレにしなければならない、と主張していたコメンテーターに国民にとって物の値段が上がることが何故良いのか、質問していましたが、答えは全く要領を得ないものでありました。極端なデフレはいけませんが、適度なデフレは年老いた日本には居心地がいいのでないかと私は思っています。先日驚いてしまったのが、あの年間兆単位で利益を出しているトヨタが何年間に渡り法人税を日本で全く払って無かったことです。メガバンクや大手企業の中にはトヨタと同じように大きな利益を上げながら法人税をほとんど払っていないところもあるのですね。
現在、日本の企業は80%以上が法人税を納めていません。ですから、これから政府が行うであろう法人税減税は一握りの大手企業の為にすると言っても過言ではないのですね。

日本の体力が壮年期から老年期に入ってきているのは間違いないことであり、その一番の衰退理由は少子高齢化である訳であります。これを打開しなければ、政府が言う「日本を取り戻す」ことは出来ないのです。ですから本当の成長戦略に少子化対策は絶対必要なことです。今の日本、真剣に少子化を考えている感じはしませんね。後はアメリカみたいにバンバン移民を受け入れることぐらいしか人口増は出来ません。まあ、話は大分横道にそれちゃいましたが、今の日本はメディアが国民を洗脳しているとしか思えないですね。

柏崎

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