週刊柏﨑 第520回_コラムももう10年目。倍返しだ!

後何日かで10月が終わります。このコラムを書き始めて10年以上経過したのですが、本当に月日が経つのが早いです。特にこの歳になりますと、若い頃に比べてまるでターボがかかったように時が過ぎ去っていくような感じがします。デパートとかに行きますと、結構大きなスペースでおせち料理が展示してあって、商戦的にははやくも年末商戦に突入です。先週に台風26号が日本を直撃して伊豆大島では甚大な被害がでました。大島では今なお、行方不明者の捜索が続いていますし、街を襲った土砂の撤去も完全に終わっていません。弱り目に祟り目、泣き面に蜂、どちらも今しんどい状況なのに続けてしんどいことが襲ってくるときに使う言葉であります。伊豆大島はまさに今そんな目に遭遇しようとしています。前回の台風に勝るとも劣らない勢力を持つ台風27号が今週末に、再び日本を直撃しそうな状況であります。伊豆大島にもかなりの雨風の影響がでる恐れがありますので、くれぐれもお気を付けください。

同じことを書きますが、自然災害の前では人間は余りにも無力であります。ただし、いきなり襲ってくる地震や噴火などと違って、台風の規模や勢力、進路などは予測できるのであって避難すれば人的被害はかなりの確率で防ぐことが出来るわけであります。今テレビ等の報道では大島のお年寄りを東京などに避難させたり、災害対策に余念がない模様ですが、それで前回の台風時の避難勧告が遅れた責任が果たせる訳ではありません。私が以前住んでいた香港、日本と同様毎年台風の被害が出るのですが、この国は国土が狭いということもありますが、国としてしっかりとしたルールがあります。香港では台風の規模と進路に応じてテレビにサインがでます。これがシグナル制で一番上の警戒態勢がシグナル8となります。このシグナル8が発令しますと基本外出禁止となり、全ての会社や商店、公共機関、交通機関は閉ったり、使用が出来ません。香港はご存知の通り、高層ビルが立ち並び、看板や電飾などとってもゴミゴミした地域が多い国であります。当然、台風が来ますと、看板や植木鉢など色々なものが落下してきてとても危険なのです。シグナル8が発令されているとき、もし外出してこういった落下物に当たったり、海で高波あって命を落としても、それは全て外出した人の責任になります。但し、ストップするのはあくまで香港の会社や公共機関であり日本資本の会社は全てではないですが、シグナル8でも出社しなくてはならなくて、日本で相場が建っている以上休むことが出来ない証券マンである私達は、いつもの10倍くらいの金額を払って、危険を顧みず走っているタクシーをなんとか捕まえて通勤したものでありました。まあ、香港は地震が起きない場所でありますので日本より安全と言えば安全でありますな。このシグナル8、発令するタイミングがとっても難しくて、もし発令して台風がそれれば、香港の一日の経済活動が停止するのであって巨額の被害金がでます。かといってシグナル8を出さなくて、死傷者などの被害がでればそれはそれで発令者の責任になります。

実際、私が住んでいた時も、予測が外れてこの発令者がコロコロ交代していました。

皆さん、お変わりなくお過ごしでしょうか。

先日新聞を読んでいたら、現代のお年寄り、60歳代は60パーセント以上、70歳代に至っては、70パーセントもの方が、スポーツクラブや運動が出来る施設に通っているというのです。実際、私も今まで通っていたパーソナルジムの専属トレーナーが栃木県に引っ越してしまったので、家の近所の大型スポーツジムに行ったところ、本当にお年寄りが多いのです。ランニングマシーンやバイクからウエイトトレーニングのマシーンに至るまで男女を問わずお年寄りがいっぱいで、そりゃ日本は平均寿命が世界一であるのも頷けますな。

さて、つい最近やっと半沢直樹の原作「オレたちバブル入行組」「オレたち花のブブル組」読み終わりました。読書は基本東京出張の際の新幹線なので、いつも途中で寝てしまって結構時間がかかってしまいました。かと言って内容が退屈なのでなく、ドラマであらすじは知っているのですが文字で見る半沢、これはこれでとっても面白いです。原作はドラマと何箇所か設定が違っていて、半沢が勤務している東京中央銀行の前身産業中央銀行に融資を切られて自殺した父親は生きていますし、その融資を切った担当者も大和田常務でなくもっと小物の上司でありました。そして大きくイメージが違ったのが、半沢の妻上戸彩演じる「花」でありまして、ドラマでは明るく、けなげで夫を立てる理想的な妻なのですが原作では結構わがままで、気の強い性格で、半沢を度々閉口させるのです。限られた時間で長い原作をドラマ仕立てに脚色しなければならないのですが、そのことを考えても、非常にうまく出来たドラマであると思います。前に島耕作という漫画がありまして、大手電機メーカーで様々な事に巻き込まれ、それを乗り越えて最後は社長になるのですが、会社はメガバンクに変わりますが、内容的にはよく似た仕立てでありますな。

但し全く違う点がありまして、それが勧善懲悪ということで、「やられたら、やりかえす、倍返しだ!土下座せえ!」と悪役の上司の悪さを暴く、これが水戸黄門的な日本人がとっても好むストーリーであります。消費税増税で庶民の懐に手を突っ込んで、儲かっている大企業の減税に回すとか、放射能漏れをコントロール出来ていると偽って対処が後手後手になるとか、TPPで聖域保護の約束を破るとか、既得権者のやりたい放題を「ふざけるな!倍返しじゃ」というような政治家が出現する期待感が望めない失望感がこういうドラマが流行る世相でありますな。一昨日から三作目の「ロスジェネの逆襲」を読みはじめま、証券会社でのお話でありますので、元証券マンとしては興味津々です。先週に触れました新商品の成分は来週説明しますね。それにしても、ドラマ化前と後の本の値段が倍以上なのには笑ってしまいます。これも「倍払いだ!」なのですね。

柏崎

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