週刊柏﨑 第304回_広告と責任

なんかこのまま夏が終わってしまいそうな感じになってきました。というよりもむしろまだ梅雨があけていないような陽気でもあります。中国地方に甚大な被害を与えた台風が過ぎ去っても一向に台風一過の天気にはならないし、静岡では大地震が起こったりと、日本の景気同様全くもって訳の解からんお盆休みです。それにしても思いがけず被害にあわれた方々には心からお悔やみ申し上げます。
皆様お元気でお過ごしですか。高速道路のどこまで行っても1,000円均一セールの影響でこのお盆の高速道路状況は、恐ろしいことになっています。ただでさえ至る箇所で50㎞を越す渋滞が予想されているのに例の静岡地震の被害で今尚通行できない場所があるのです。
こうなると私の様に、どこにも行かないのが一番であります。何十年ぶりかという真夏の衆院選挙でありますが、与野党の逆転が濃厚であるという画期的な出来事であるというのに余り盛り上がっているようには見えません。この理由は、このところの選挙がマニフェストを重視した選挙になっているからです。各党が今こぞってマニフェストを出して、マスコミを中心に選挙の争点をマニフェストの検証にしてしまっている感があるのです。これでは、はっきり言って盛り上がるはずはないのです。
なぜなら、与野党が出しているマニフェストはいわば寄せ餌みたいなものであって、魚である私達国民から見ればどれもきれいでおいしそうに見えるのです。よって政策的にはどれも似たりよったりの内容になってしまっていて、各党に大きな特色の差が無いのです。その上で各党が戦う訳ですからどうしても重箱の底をつつくようなくだらない争点にならざるを得ない状態なのです。ですから私が以前にこのコラムに書いたように、マニフェストを云々するよりも、それを達成出来ない時の責任の取り方を明確にした方がもっと盛り上がる選挙になると思うのです。はっきり言って今度の選挙は政権選択が一番の争点なのです。「今のまま」か「変える」か考えることはそれだけです。
さて、アメリカの男優トミー・リー・ジョーンズが登場する缶コーヒーのCM。誰もが一度位、ご覧になったことがあるでしょう。このCMはシリーズ化になって、様々なバージョンが何年にも渡って放映されています。実は、海外、特にアメリカの俳優や歌手がCMに出るというのは、珍しいことなのです。実際、アメリカに住んでいる友人が帰国している時にこの缶コーヒーのCMを見て「有り得ない」と驚いていたのです。ご存知の通りアメリカというのは訴訟の国であります。消費者はとんでもないことでもすぐに訴えてきます。この缶コーヒーのCMなら、缶コーヒー飲み過ぎた人がすごく太ってしまった、それはジョーンズさんのせいというなんとも恐ろしい短絡的な思考で訴訟に至るのです。
またアメリカでは肖像権ということにすごくナーバスであるのです。20年近く前ですが私の先輩が当時役員をしていた有名エステのCMに、あのマドンナが出演した時は、もう肖像に関する契約書だけで10枚近くあったそうで、それはインスタントカメラで撮ったプライベートのマドンナと先輩が映った写真に迄及んだものでした。よってアメリカではCMに人気タレントが出るということは全くなく、むしろ、CMに出ればそれだけ人気が失くなったんだということになっているのです。そんなアメリカの状況に対して、日本ではタレントのCM出演というのは、逆にそのタレントの人気のバロメーターになっている感があります。そうなると当然、人気タレントほどCM出演料は莫大な金額になり社会的に与える影響も高くなります。にもかかわらず日本のCMに出演するタレントには、その自覚はなく、ただ単に短時間で出来る割の良い仕事という感覚が強いのです。以前ある生命保険会社のCMに有名俳優が出ていたのですが、その会社がその半年後に破綻してしまったのです。当然そのCMを見て安心してその保険に加入した人も多いと思います。しかし、その後加入者からその俳優や所属事務所に苦情が出たとか俳優からの謝罪があったとかいう話は聞かないのです。
また一時、社会的問題になっていた、マルチ企業や詐欺まがいの会社のCMに出ていた人気タレントも同様であります。なんせマスコミ大手はどちらかというと、そういう企業のCMに出ていた人気タレントを擁護するくらいですから、今回の覚醒剤問題で逮捕された酒井のり子被告も、大手企業のCMに出演していました。日本の場合政治も社会的問題も余りにも国民の声は、聞こえないのです。国民の声がもっとシビアになれば政治だけでなく企業や芸能界の中ももっと、変わっていくと思います。
今の芸能界や大手企業を巻き込んで大スキャンダルになっている違法薬物問題も、彼らが国民の支持の上に成り立っているということを忘れているというか、国民をなめている、今迄の政治の世界と同じ根っこがあると思っています。

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