椿油          週刊柏﨑 第207回

なんぼか涼しくなってきました。昼間はまだ30度を越える日が続いていますが、着実に秋になっているのが解ります。
自民党の総裁は大方の予想通り、派閥を抑えた福田康夫氏が勝利しましたが、敗れた秋葉系麻生氏の善戦により、自民党の将来をうかがえる選挙であったと思います。もはや派閥談合型の政治に限界がきているのは、誰が見ても間違いないようです。と、少々アカデミックな話題から入らせていただきましたが、皆様お変わりございませんか?

私は今、椿油の件で、九州に来ております。椿油は御存知の通り、椿の種を搾って作るものです。特に国産のヤブツバキは、人間の持つ皮脂に近いオレイン酸が豊富で、肌につけても、髪につけても非常になじみが良く、昔から愛用されてきた油であります。
この国産椿の種の価格が、現在暴騰しているのをご存知でしょうか?
昨年、資●堂シャンプー「TSU●AKI」が大ヒットし、今年も「白●」という商品が大々的に販売されることになりました。その結果、資生堂が大量に椿の種を調達することになって、今まで1kgで700円くらいだったのが、ひどい業者によっては、1kgで2,000円という価格を提示してくるところもあります。価格の値上がり面では、ガソリンの比ではなく、椿油メーカーは、まさに原料不足という事態に落ちいっているのです。
今年は、直撃した台風も少なかったのと夏が猛暑だったため、椿の種は豊作だったにも関わらず、需給面で完全に需要過多状態であるのです。
そのため、私達がとった方法は、自己調達です。椿の木がある場所へ行って、そこの管理者と交渉して、椿の実を拾うという、まさに人海戦術を取らざるを得ないのです。
まず、この自己調達の作業で、困ることが毛虫です。椿の木には、茶毒蛾という小さくて黒い毛虫がついていて、これに触れると腕や足がミミズバレとなり、たまらなく痛がゆくなります。茶毒蛾というくらいですから、元々お茶の木につくのですが、今は多量の農薬散布により、お茶につかないで、同じ原産種の自然に生えている椿の木についています。
何人もの人間が、この毛虫にさされて、通院を余儀なくされ、ステロイド軟膏のお世話になりました。
熊本の運動公園や龍田山、長崎、鹿児島と、椿の木があるといういう話を聞くと軽トラに乗って拾いに行くことをくり返し、なんとか予定数量の70%まで集めることができました。
椿製品の名前について商標登録した際、係員から今年はいったいどうなっているの?というくらい、椿製品の届出が多くなっているということを聞きました。今後、凄い勢いで椿商品が登場することは、間違いないものと思われます。ちなみに資●堂の「TSUB●AKI」は、約2%くらいの椿油の含有だそうで、うちが取り扱う予定の100%国産椿油というのは、労力とコスト面、そして生産本数からみて、労力のほうに負荷がかかる商品だと思います。しかし、自然とか本当の健康とかを考えた時に、防腐剤とか添加物、香料を入れないことは、うちのコンセプトから絶対に守らなくてはならないと考えています。
ただし、今年は椿の種を調達できても、来年、再来年も調達が上手くいく保障は全くありません。ですけれど、国産にこだわった全く他のものを加えない商品は、私達のこだわりですし、関係者の努力の結晶だと思います。10月初めにこの種を玉搾りによって搾ります。そして、非加熱精製によって不純物と臭いを取り、化粧品としての商品が出来上がります。機械搾りと違って手作業ですので、圧があまりかからず、少ししか搾れませんが、この古来の方法が一番素晴らしい椿油が出来上がる唯一の方法です。
是非、試してみて下さい。すごいですから。

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