週刊柏﨑 第507回_昭和の薫りがする娘

暑い日が続いておりますが、突然くるゲリラ豪雨で、それほど、うだるようなという感じはしない訳であります。気温調節にはゲリラ豪雨は、多少は役にたっていますが、それでもあっという間に水害をもたらすのですから、あくまで程度というのがありますな。それに、あんなに大量に雨が降るのに、ほとんど貯水池の水量に貢献していないというのです。
先日、発生した積乱雲に薬剤を散布して強制的に雨を降らせることに成功したと聞いたのですが、都会では不要なゲリラ豪雨を招く雲を集めて貯水池の上で降らせるようなことは出来ないのでしょうかね。
今日、関東では取水制限が発令されたそうですが、ゲリラ豪雨で浸水しているのに、断水なんてことがあったら笑い話ではすまされません。先週まであれ程静かであった我が家の近所の公園もやっとセミの声が鳴り響くようになりまして、ひと安心であります。

皆さんお変わりなくお過ごしでしょうか。
先週から始まった娘の大学の前期試験も無事終了した訳でありますが、日頃怠けていた報いか、いつもは家で、食べているか寝ているかどちらかという娘が、試験期間はほとんど徹夜状態になりまして(ご飯はしっかり食べますが)試験後半には大体行動がおかしくなってきます。まあ、それだけ薬学部の試験というのは大変であるのですけれど、部屋でブツブツ独り言を言ったり、突然叫んだりすることは当たり前でありまして、私も嫁も「またか」という感じで気にも止めません。
それが今回は朝の5時頃にトイレに起きますと、居間から大音量で音楽がかかっていて、娘の少し音程のずれた歌声が聞こえてきます。
「バカ言ってんじゃないよー」居間に行くと、大量の書籍に埋もれた娘がスマートフォンから流れる歌声に合わせて歌っていました。我々の世代なら誰しも知っている「三年目の浮気」ですな。
まあ、これがAKBとか嵐であれば私も驚くことはありませんが、平成生まれの娘が「ヒロシ&キー坊」でありますからいよいよヤバイと思った私も「どうしたの?」と尋ねると娘は平然と「昨日から頭から離れんねん」とチオビタを飲みながら答えます。
ただウチの娘は誰しも認める不思議チャンでありまして以前から平成生まれながら「昭和の香りがする娘」であります。そういえば前の試験時は「てんとう虫のサンバ」を歌っていましたっけ。
まあ、ここまで留年しないでこれたのは娘の努力と運でありますが、クラスメートや先輩からは「京薬の奇跡」といわれているそうであります。
今回の試験も追試無しなら先輩から廻らない寿司を奢ってもらえるらしいのですが、試験初日で「あかん!」だった模様です。試験が終わっても研究室だ、追試だ、と忙しいようですが、体調に注意して頑張って欲しいものです。ちなみにカラオケで娘と「三年目の浮気」をデュエットする約束をしました。

さて、参院選挙が終わり、大方の予想通り与党が勝った訳であります。
与党自民党は公約として消費税増税、原発再稼働、TPP参加、憲法改正を挙げていましたので、当然これらは、近い将来実行されます。
私は皆さんに問いたいのですが、本当にそれでいいのですかという事です。今回の選挙も、与党対野党という図式であれば、野党の獲得した得票数の方が多かったのですが、あまりに野党が多く分散した結果、対立軸が定まらず、与党が比較的多くの票を集めた結果与党の勝利に繋がりましたな。
この選挙結果の状況をみて、肉屋さんを信用して慕う豚や牛と評したエコノミストがいましたがまさに言い得て妙であります。将来自分の身に降りかかる現実に、こんな筈ではなかったとくれぐれも後悔しないように。
先日発表された貿易統計で、輸出量は前年同月比で7.3%のマイナスでこれで13ヶ月連続のマイナスになりました。また、輸入量に関しても5.3%のマイナスでありまして、円安といっても日本経済は確実にシュリンクしているのです。まあ、トヨタやホンダは日本で作った製品なんかとっくにコストに合わずに日本から輸出していません。アメリカにはアメリカの工場で作った製品をヨーロッパにはヨーロッパの工場で作った製品を販売している訳で、円安になっても関係ありません。要するに為替など金融調節によって景気を良くするという事は出来ないのです。
先週、アメリカの大都市であるデトロイト市が破綻しました。デトロイトというのは昔モータウンと呼んでいた自動車の街であり、1970年代には人口200万人というまさにアメリカを代表する都市でありました。
それが現在は70万人、町の至る場所が廃退して見る影もないような変わりようでありました。ロボコップというアメリカの近未来を描いた映画がありまして、その舞台となったのがデトロイトでありました。
映画の内容は、市の財政が破綻し警察が民営化されて機能しなくなり、スラム化した街に悪党が跋扈し、それを人間の感情を持ったロボットの警官がやっつけるというものなのですが、強ちフィクションではなかったのですね。日本では夕張と同じと報道されていますが、町の規模は全く違う訳であります。
それは、財政再建を真剣に考えなくては、どんな都市でも起きる事であります。自民党が勝利したことで、アベノミクスの第三の矢、日本強靭化政策で10年間で100兆円という公共投資も実行されるでしょう。マスコミは全くその財源に触れる事がありませんが、基本税金や借金で賄われることになります。
この公共投資が、昔の様な、全く採算を考えない道路やダム、箱モノなどに使われるなら、懸案の日本の財政は確実に悪化することになります。ここで投資されるお金は絶対に将来に利益を生み出すものに使われなければなりません。農業や漁業や医療、そしてカジノなど国が主導して利益を生み出すビジネスはいくらでもあるのです。
しかしそのためには既存の既得権益を打ち破る、規制緩和が必要な訳で、相当のリーダーシップと行動力が必要になります。与党自民党は国会で圧倒的なパワーを有しているのですから、やる気になれば可能であるのです。国としてお金を得る方法が税金という今までの安易な考え方を捨てて、国として稼ぐということを今こそ実行しなければ、将来日本がデトロイトのようになってもおかしく無いと思います。

柏崎

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