週刊柏﨑 第365回_ビジネスモデル
京都でも朝方は息が白くなっていて、近所の狐坂の温度計は本日8℃でありました。考えてみると、今年の春もすごく短かった記憶があります。確か5月位まで肌寒い日が続いていて、気が付いたらあの猛暑だったと思います。日本の四季というのは、確実に夏と冬の二季状態になりつつあります。なにか今年の冬はとんでもなく寒くなるような気がします。
皆様お元気でお過ごしでしょうか。私は今日ストーブを出しました。今、思ってみると、日本中で出没していた熊は野性の本能でこのところの寒さを予感していて、冬眠のためにどうしても「食いだめ」する必要があったのではないでしょうか。それにしても、来年の花粉症が今年の5倍だとかいう話は結構、目にしたり耳にしたりしているのですが、本当に気をつけなくてはならないのは、今週北海道稚内で見つかった鳥インフルエンザに感染したカモ、なんでも強毒性のタイプだということで、こっちの情報をしっかり出してもらって、まさかの事態に備えるべきだと思います。宮崎県の口蹄疫のように「あの時、気を付けていれば」なんてことは、この鳥インフルエンザに関してはあってはいけません。
しかしながら、私を含めて日本人というのは、首もとが寒くならないと「ヤバイ」と思わない種族であります。そう考えると、今の日本の状況はかなりの人が「ヤバイ」を思っているのではないでしょうか。
さて、今年も野球界はドラフト会議となり、この新人争奪戦が終われば残すところ日本シリーズだけとなります。今年のドラフトは近年の一番の豊作となるハンカチ王子世代が対象となりますが、注目しているのは、私の息子の先輩世代(高校生)の指名があるかないかであります。特に中学時代の息子のチームメイトの兄さんが指名される可能性が強いので、結構期待しています。このコラムが出る頃は、すでに結果が出ています。多分、この選手の両親が一番緊張しているんじゃないかと思います。もし、無事指名されたらお祝の電話でも入れようと考えているのですが、それにしても、ドラフト会議の盛り上がりとうらはらに、大元であるプロ野球人気の凋落に歯止めがかかりません。
なんでも、クライマックスシリーズの巨人対中日のテレビ視聴率は7%程度だった模様です。昔のテレビ界のキラーコンテンツである巨人戦でさえこのような悲惨な状態であるのですから、今年の地味チーム同士の戦いである日本シリーズ、中日対ロッテなど名古屋とQVCさんのおひざもとである幕張で、一部熱狂的ファンの間で盛り上がっているだけで、なんと日本シリーズ史上初めて地上波でのTV放映がないのだそうです。すべての試合の放映がないのではありませんが、信じられない事態であります。まあ、テレビ局だって営利企業であるのですから、視聴率が取れない、スポンサーがつかない、儲からないということでどこも中日対ロッテという、一部地域を除いて低視聴率間違いなしという戦いは放映したくないというのが本音でしょう。しかしながら、これが阪神や巨人という人気球団が出ていても状況は大きく変わらないというのが、今の野球番組離れの深刻な問題であります。プロ野球のTVで放映する放映料というのは、年に一回開催されるオールスター戦が一番高額であって、一試合当たり1億数千万といわれていて、年に2試合行われます。
以前は3試合だったのが、2試合になっただけでも人気は落ちているのがわかりますが、今年の放映料は2試合で約8千万円だったそうです。これはもはやどんな人気球団であろうとも、プロ野球というのが、TVゴールデンタイムに流すコンテンツではなくなっているということなんです。これはもはやハンカチ王子だの、マー君がいくら話題になってがんばっても昔のような人気は取り戻せないのです。これは大相撲やJリーグサッカーなどでもまったく同様な現象であります。少年野球など野球人口が落ちているからではありません。多分、日本国民のライフスタイルの変化、これが一番大きい要因のような気がします。
あとは、球団のスポンサー企業の広告媒体であればいいという、運営姿勢のおごりであります。このみぞうの不況によって、スポンサー企業の業績が落ち込む中、赤字運営があたりまえのプロ野球界も大きな曲がり角に来ていると思います。どんな企業であっても、一番重要であるのはビジネスモデルであります。私達企業の運営というのは、いつも行きあたりばったりではなく、お金を生んでいく仕組みというものを持っています。これがビジネスモデルであります。このビジネスモデル、その企業が輝いている時は未来永劫続いていくと思いますが、実は必ず賞味期限があります。ですから、その時代や状況に応じて変化させていくことが重要です。それを間違うとJALや山一証券のような大企業であっても破綻を余儀なくされます。私ども、エーエルジャパンなどまず一たまりもありません。
ですから、転ばぬ先の杖というように、常に少々腰を引きながらも新しいことにチャレンジし、そして今やっていることが間違っていないか検証して毎日歩んでいるのです。一旦、歯車が逆に回りだすと、それを止めるのは容易ではありませんし、万全と思われていたビジネスモデルさえ崩壊してしまいます。今のプロ野球といのはまさにそういう段階であるし、翻って私達を取り巻く日本というビジネスモデルさえ、もはや賞味期限が切れようとしているのです。先週触れましたタイなど東南アジアへの老後の移住、誰だって生まれた日本がいいのに決まっています。
しかしながら、賞味期限が切れた日本になってしまったら、私はそんな状態になってしまった日本をみるのに耐えられません。(例の息子のチームメイトのお兄さんは無事ドラフトで指名されました。両親に電話したら、さすがに大喜びしていました。おめでとうございます。)