週刊柏﨑 第525回_嘘をつかない、という当たり前のこと

今週半ばから前にも増して寒くなってきました。週初めから九州に出張したのですが、その間北陸から関東ではとんでもない風が吹いたようで、各地では大きな被害がでた模様です。日本列島を北上した低気圧は関東に達する時は、台風規模になっていたそうで、冬場に台風の被害に遭うのですから、たまったもんじゃありません。その点、近畿地方は今のところ平和ですな。

あくまで、今のところですが。

京都の紅葉は予想通り、とても綺麗でありまして、犬の散歩コースの宝ヶ池は、真っ赤に色を変えた紅葉がひときわ目を楽しませてくれます。京都駅のタクシー乗り場にはいつもは客待ちのタクシーで溢れかえっているのですが、九州出張から帰った当日はタクシー乗り場ががらんとしているところを見ると、行楽地はかなりの人出なのでしょうね。こちらも今のところ、京都の観光シーズンは好調のようであります。

皆さん、お変わりなくお過ごしでしょうか。

政治家の約束というものは、どのくらいの重みがあるのでしょう。子供の頃から嘘をついてはいけないと親から言われて育った訳でありますが、本当にこういう事がまかり通ったら、日本の常識と永田町の常識が違ったものになり、それは選挙の為に国民を騙すことは当たり前というとんでもない世の中になってしまうということであります。沖縄で、辺野古への基地移転を認めないという公約をあげて当選した自民党議員が今週、その公約を破り基地移転に賛成の立場を表明し問題となっています。元々本土に住んでいる私達は、自民党が政権をとれば間違いなく辺野古移転をするだろうなという感じはしていましたけどね。

しかしながら沖縄の地元の方々は、それでも自民の候補者の言葉を信じた訳で、裏切られたとの思いはことさらであると思いますし、酷いことです。これは初め参加しないといっていたTPPに参加し、絶対に守ると言っていた5品目も守れないという公約破りと同様です。要は国民のことは全く顧みないで、ないがしろにしているという事であります。だってそれでも与党の支持率は高止まりしているのですから、国民にも責任はありますけどね。この後必ず直面するのが、原発の再稼働問題でありまして、原発再稼働反対を表明して当選した福島県選出の与党議員、多分再稼働に賛成すると思いますが、もうこうなると議員個人のモラルでありますな。せめて、辞任覚悟で反旗を翻す位の性根を見せて欲しいです。それでなくとも福島は、県内市町村の首長選挙で与党候補がことごとく敗れているという現状があるのですから。これだけは言っておきますが、安倍政権の支持率は巷で言われているほど高くはありませんよ。国民の声を聴き、国民の為の政治をする、そんな政治家が一人、また一人と集まれば今なら、大きな流れが出来ると思います。昔、与党に在籍しながら公務員法案に一人反対した渡辺善美氏、テレビのタレントコメンテーターから世の中の不条理を訴えた橋下徹氏、地方の苦しみを県民目線で解決しようとしたタレントの東国原英夫氏と世の中はそういう流れを待ち望んでいるのです。一時は彼らが日本のトップになるという期待感があったというのも事実なんですから。(今は大分メッキが剥がれてしまいましたけどね。)今、毎日のようにメディアから叩かれている、知事さんも同様、悪いことをしたり、有権者を裏切ったならば、下手な言い訳などせず筋を通す、そんな矜持が求められているのですよ。誰だって彼より悪質な政治家がいるということは分かっているのですから、そんな政治の世界に一石を投じて欲しいと考えているのは私だけでは無い筈です。記者からの質問に、あれだけたどたどしい言い訳しか出来ず、しかも目が泳いでいるのですから、観ていて気の毒にさえ思えますな。大体、ある時払いの催促なし、しかも無利息という貰ったも同然の大金を、一寸頭を下げれば手に入れられるのが政治家であるのですから、そりゃ他人にはその利権は渡しませんし、中々その地位は手放しません。世襲にならん方がおかしいですね。

さて、高齢化社会である現在、大きな問題となっているのが医療費の増大であります。近年、医療費は右肩上がりで推移している訳でありますが、その医療費に中でも大きなウェイトをしめるのが薬代です。その薬代を大幅に削減できるとして注目されているのがジェネリック薬であります。欧米諸国ではこのジェネリック医薬品の薬代全体のシェアが70パーセント位なのですが、日本においてはまだ45パーセント前後とかなり低い状態です。先日、経済諮問会議で「ジェネリック医薬品の利用に消極的な医療機関の診療報酬を減らす」という提言があったように国としてはジェネリック医薬品の推進に前のめりです。

ジェネリック医薬品が普及するためには、元のオリジナル薬と同じ成分、同じ効き目であるということが絶対条件であり、値段で決めるものではありません。以前、このコラムでジェネリック医薬品はオリジナルの薬と効き目が違うとのことを書いたことがあります。まあ、薬大に通う娘からも色々ジェネリックの問題については聞いていたのですが、今週発売の週刊新潮に詳しいジェネリック医薬品の情報が特集されています。一般に薬というのは薬効がある「主薬」の他、薬効を持たず主薬の分解を防ぐ「安定化剤」や錠剤を固たり、嵩を増やして消化液に溶けやすくする「賦形剤」から成り立っています。(この辺は健康食品と同じです)このうちジェネリック医薬品に使うことが出来るのは特許が切れた主薬だけで、安定化剤や賦形剤は勝手に使用することが出来ません。薬によってはこの脇役が薬効に対し大きな 役目を果たすことも多々あり、同じ主薬を用いても大きな効き目の差が出ることになります。実際、オリジナルと違った賦形剤を使用したジェネリックを使用して中毒症状が多数出たことがあるそうであります。また新薬には厚労省が過酷試験を義務づけていますが、ジェネリックは免除されています。この過酷試験というのは人工的に日ざしに当てたり、乾燥させたりして、その時点での成分の劣化度を測定するもので薬の安定性を確認するのに必要であり、主に賞味期限などの目安になります。そういうことを考慮しますと、多少価格差はありますが、なにも考えずにジェネリックを服用することに、私はかなり不満があります。いくら値段が安くても、効き目が違う上に、危険性があるということに対し情報を開示しないのはおかしいと思います。私は基本、薬を貰うときはオリジナルを選択するのですが、70パーセントは国に負担して貰っていますので(保険料は払っています)しっかりした情報があればジェネリックを使用することに異議を唱えるつもりはありません。現実に医者や厚労省の役人自身のジェネリック医薬品の使用率が低いそうであり、その理由を聞きたいですな。前から言っていますが、主薬だけ教えてもらってオリジナルと同じ薬を作れって言ったって口で言うほど簡単ではありません。

同じ材料を使っても私と三ツ星料理人と完成した料理の味は絶対違うのです。

柏崎

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