週刊柏﨑 第461回_パラリンピックと大企業の不振
九月に入りました。相変わらず暑い事は暑いのですが、それでも朝晩はだいぶ秋めいてきたように思います。家のそばの田んぼでは稲穂が黄色に染まり、確実に季節は変わり始めています。かといってこのまま涼しくなっていくとも思えないので、やはり確実な暑さ対策はしなくてはなりません。
街中には夏休みが終わった学生服姿の中高生が目につくようになりました。うちの息子も含めて、受験生は第四コーナーに差し掛かろうという段階であります。来年の合格を目指して頑張って下さい。
皆さん、お元気でお過ごしでしょうか。
ロンドンではオリンピックに続き、パラリンピックが開催されています。
パラリンピックというのは、オリンピックとパラレル=平行という言葉から生まれた造語であり、オリンピックが終わった後、平行して開催される障害者のオリンピックであります。オリンピックに比べてパラリンピックはまだ歴史が浅く、1948年のロンドンオリンピックの時が1回大会です。
健常者が技と記録を競い合うオリンピックに比べて、ハンデキャップを持つ障害者が出場するパラリンピックは、
先ずスポーツを志す段階で並大抵ではない苦労と努力が要る訳で、参加されている選手の方々には、私のような楽な方へ流れる人間からみれば本当に頭が下がります。
私自身、このパラリンピックのシステムやルールについてよく解らないのですが、なんでも障害者の障害の程度によってクラスが分かれていて、
努力次第ではどんなハンデキャップを抱えていても、参加してメダルを獲ることが出来るのです。
もちろんパラリンピックに参加する選手は皆さんに頭が下がるのですが、このロンドン大会で特に凄いと感じた選手がいます。それは、既に銀メダルを獲得している競泳平泳ぎの中村智太郎選手であります。彼は生まれつき両腕がありません。泳ぐということはどんな種目でも手と足を使う訳ですが、どちらかといえば手が無い方が辛いのではないでしょうか。
彼が競うカテゴリーの運動機能障害SB7というハンデキャップレベルがどのようなものかは知らないのですが、少なくとも両腕が無いのは中村選手だけでありました。優勝したオーストラリアの選手は私よりもはるかに太い両腕がしっかりありました。
しかも両腕が無いということはゴール=コンクリートのプールに思い切りの頭突きであるのですから、腕がある人からみるとかなり不利であります。そういう環境での銀メダルであるのですから、本当にすばらしいと思います。
また、盛り上がったオリンピックの後に開かれるため、どうしても地味になりがちのパラリンピックを支える、ボランティアや役員の方々には頭が下がります。個人的には某テレビ局のチャリティー番組には無い本当の感動を覚えます。
さて、話は変わりますが、ここのところ世の中を賑わしているのが、
パナソニックやソニー、シャープなどの日本を代表するような企業の不振であります。
これでもこの柏崎、昔は証券会社に勤めてた経験がありまして、個人営業から最後は海外で株式ディーリングを経験するなど、色々な業務に携わっていました。わけあって退職後も、それなりに株式投資は続け結構の運用実績を残していたのです。それが10年程前に、それまで多少なりと築いてきた資産のほぼ全てを株式投資でふっ飛ばしました。
お金というのは、増やすことよりも減らさないことが大事であるということを学んだ訳であります。まあ、柏崎家のお金には以後全くタッチすることは許されておりません。それに今の通販ビジネスが忙しくなってきたということもあり、株式欄を見る事、そして日経新聞さえ読む機会がめっきり少なくなりました。ここのところ新聞やテレビで、パナやシャープの決算が大赤字になったり、
大量のリストラを発表したりしていたことは知っていたのですが、偶然東京駅の大丸の前で人と待ち合わせの際、株式の値段を知らす電光ボードでパナソニックやシャープの値段を観て本当に驚いたのです。
シャープが180円、パナが580円、ソニーが1000円していない「エー」という感じです。
シャープの株価などそれはもう破綻企業といっていいぐらいです。昔から証券界には色々な言葉があって、どんな銘柄でも高値から半値八掛け二割引きになったら底値だから買いという経験則がありますが、ここのところは、ほとんど通用しません。
マスコミ報道では、このような惨状をみて円高で日本経済は終わりだとか、
大量リストラで日本が失業者で溢れるとか言ってますけど、本当なんでしょうか。
答えは「NO」であります。
日本のGDPにおけるパナソニックやシャープなどの輸出企業が占める割合は
すでに15パーセントにすぎません。
確かに日本のGDPというのは円高で輸出企業がお終いという状況にもかかわらず、
常に前年比微増もしくは横ばいであります。どいうことかというと、こっちがダメならあっちが良いということで、
円高でダメな業種あれば、円高で潤う企業がそれを補完して、なんとなくバランスしているということです。
今いいのは、大手メガバンクを始めとする金融機関、総合商社、大手不動産会社などであります。シャープやパナが大きな利益を上げていた頃、金融機関はもろにリーマンショックの影響受け、大赤字に沈んでいました。
それが現在大手メガバンクだけで利益がなんと3兆円、三菱UFJ一行で一兆円ですよ。それにトヨタのように円高であろうと赤字から最高益に回復してくるような凄い企業もあります。要はその状況に応じた経営が出来るかどうか、ということが大切なのです。
昔パソコン全盛時代、マイクロソフトに完敗したアップルは今のシャープやパナのように赤字になり株価は3ドルまで下がりました。それがiPhone(アイフォン)、iPad(アイパッド)で時流を掴んだアップルの株価は今や700ドル近くと、230倍以上になりました。時価総額も世界ナンバー1であります。日本でパナやシャープだって可能性はゼロではありません。これらの企業グループには今まで蓄積したノウハウとそれを開発してきた優秀な人材がいます。
今こそ前を向き、上を見上げなければなりません。
いい時があれば悪い時だってあるのです。
諦めず、ひたすら頑張る人達が世の中、沢山います。
そのような志を持っている人にはためらいはありません。
私達は恵まれています。少なくとも健常者であり健康であります。
もう一度、今の自分を見つめ直しましょう。
まだまだ、こんなものではない筈です。
随分、えらそうなことを書きましたが、
今回のパラリンピックを観て、私も反省の日々です・・。