週刊柏﨑 第328回_余分3兄弟について

先週末に雪が降りました。我が家があります国際会議場付近は、京都市でもかなり北部にありますので、なんぼか雪も積もりました。街中では、木々が少しだけ白くなった程度で、あっという間に雪も溶けてしまいました。しかしながら、家から見える比叡山は雪化粧によって神秘的な風情であります。私はこの風景が好きです。まぁ、今週に入ったらいきなり暖かくなって、連日朝でも10℃以上の気温であります。
皆様お元気でお過ごしでしょうか?
 
食品業界のガリバー同士での経営統合ということで、このコラムでもふれましたキリンとサントリーの統合交渉が決裂しました。キリンは上場企業、サントリーは一族経営の非上場企業。企業体質が全く違う大会社同士がどうやってくっつくか非常に興味があったのですが、結局のところ合併比率の問題(1:0.5)で折り合いがつかなかったそうであります。
元々、中国市場などの海外展開をにらんでの経営統合だったと思いますので、国内での統合メリットは余りなかったのでは?というのが私的な考えです。
先日、雑誌をペラペラめくっていたら、ちょっと驚く記事が載っていました。
それは、全国の引きこもりが推計360万人いるというものです。
なんと京都市の人口の3倍以上であります。これは引きこもりが一家に一人とすると、世帯数としては大阪府や神奈川県の総世帯数に匹敵するというのです。この記事の中で、どうやって「ひきこもり」の人数をカウントしたのだろうと疑問を投げかけているのですけど、確かに今流行の聞き取り調査で「お宅には引きこもりの人がいますか?」と聞いて回ることも出来ないはずなので、「どうやって調べたんだろう?」と考えてしまいました。
 
さて、ソフトドリンクのテレビCMでも取り上げられている「余分3兄弟」をご存じでしょうか?
ここでいう余分3兄弟といわれているのが、「油分」「塩分」「糖分」であります。
前々回のこのコラムで、日本人の油分の摂り過ぎについて書いたのですが、あとの塩分・糖分についてはどういう状況なのでしょうか。
まず塩分については、日本では塩分の1日の摂取量を、成人男性で10グラム、女性で8グラム以下を目標にしています。皆さんはこの塩量について正しい知識をお持ちでしょうか?食品の栄養成分表を見ると、食塩と記載されているものは少なく、「ナトリウム」の表示があるものが多いです。つまり、成分表にかかれているナトリウムから塩分を計算式に当てはめれば、塩分相当量がわかります。ナトリウムの食塩相当量の計算式は、ナトリウム×約2.5=食塩相当量(g)です。
例えば、油分のときにも登場したカップメン。ここで注目されるのは、側面に記載されている栄養成分表であります。
ここにも「ナトリウム」という項目があります。いま手元にあるカップメンには4.3グラムと書いてあります。
そうすると、このカップメンに含まれる塩分量はこのナトリウムに2.5をかけた数値ということになります。計算してみると、4.3グラム×2.5=10.75グラム。このカップメンをスープまで飲み干すと、それだけで女性はもちろん男性も1日の塩分摂取量の目安を超えてしまいます。
ここで、食塩10グラムを300ccの水に溶かした食塩水を作ります。カップメンに入れるお湯も大体300ccくらいです。10グラムを300ccの水で溶かした食塩水は、多分普通の人だったらしょっぱくて飲むことはできません。ちなみの海水300ccに含まれる食塩は約8.4グラムなので、この食塩水は海水よりはるかに塩辛いのです。
しかしながら、カップメンのスープは子供でも普通に飲んでいるはずです。
こんなことが可能なのは、やはり食品添加物無しではありえないのです。まずこの大量の食塩に、グルタミン酸ナトリウムに代表される化学調味料を複数入れます。それにサトウキビなどのカスから作ったタンパク加分分解物でコクをつけ、豚やチキンのエキスを加えてベースになる味を作ります。そこに香辛料や香料で刺激的な味をつけ、よい香りをつけます。この魔法の粉たちを使用することによって、海水よりも塩辛いスープを私たちはおいしく飲むことになるのです。
 
さて、次は余分3兄弟の「糖分」です。
糖分(炭水化物)については、1日の総摂取カロリーの50%以上~70%未満にすることがよいとされています。 1日2500キロカロリーとして、その60%を糖分=炭水化物とすると1500キロカロリー、糖分1グラム=4キロカロリーですから、1日の糖分は375グラム以下が望ましいということです。これは砂糖を375グラムというわけではなく、ご飯も糖分としてカウントします。ちなみにご飯をお茶碗1杯で約58グラムの糖分ということになります。
しかしここで問題としているのは、炭水化物から変化する糖分でなく、本当の砂糖やシロップから摂取している糖分であります。例えば、私達が常日ごろ口にしている、ジュースやスポーツドリンク、缶コーヒーで考えていきます。
これらのドリンクに共通しているのが、まず普通の砂糖は使っていないということです。
なぜって?それは砂糖はコスト的に高いからです。だいたい使っているのは果糖液とか果糖ブドウ糖液等といって、トウモロコシやイモ類から採ったでんぷんを、酵素で分解した甘みが強烈な液体であります。
500ccのペットボトルジュースに含まれる糖液を白砂糖に換算すると、何とジュース1本に50グラム~60グラムの白砂糖が溶けているのと同じ甘みだそうです。これは前の塩水同様、飲めたものではありません。(スポーツドリンクの方がジュースよりやや少ないです)そうです。ラーメンスープ同様、魔法の粉・添加物の登場となります。
まず酸味で合成アスコルビン酸(ビタミンC)やクエン酸で酸っぱくします。(乳酸・リンゴ酸なども合成です)酸味料と書かれているときは、これらがミックスしたものが入っています。水に溶ける合成植物繊維を入れてイメージアップをし、着色を合成色素でして出来上がりです。これは、例の添加物を知り尽くした食品コンサルタント、安部司氏の講演会での話の内容を書いています。安部氏が危惧することに、私も同様の考えを持ちました。
それは前にもふれた塩辛過ぎ・甘過ぎて食べられないということ、それは身体がこれ以上の塩分や糖分を摂ることを生命の危機として、拒否反応を出していることなんです。それを様々な添加物をいれることによって、私達は摂れてしまう。これは本来、生命を維持するためにしている、食事という行為といえるかどうかということです。
安部氏はジュースを飲みながらカップメンやジャンクフードを食べる、これが今のキレたり、引きこもったりする子供を作るとまでいっています。もう一度、私達の周りの食品を考える必要がありそうです。(ご興味がある方は安部司氏の出版された本にも詳しく載っています)

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