週刊柏﨑 第479回_大衆薬のネット通信販売規制の決着
本当にアッという間に一週間が過ぎてしまいました。
まだまだ、正月気分が抜けませんが、巷では完全に平常モードになっています。なんでも今年は、初詣に神社に参拝する人が増えているようで、やはり「苦しい時の神頼み」、日本ではまだ春は遠いかもしれません。
この冬の寒さが例年に比べて低いか高いかは知らないのですが、年が変わってもあいかわらず寒い日が続いています。現在南半球は真夏であるのですけれど、オーストラリアのタスマニアでは先日気温が41度になったらしく、まさに凄まじい暑さであります。自然発火による山火事が各地で続出しているというのですから。まあ、同じ地球とは思えません。
皆さん、お元気でお過ごしでしょうか。
自民党政権になってひと月が過ぎようとしています。何かが変わったわけではありませんが、株や不動産が上がって経済界では現政権に対する歓迎ムードが漂っています。資産価格が上がることは、基本よいことであるのは間違いありません。ただし、資産を持たない層には恩恵が実感として無いので、再び格差問題が表面化してくるのだと考えています。これは国債を増発して行う公共投資も同様で、やらないよりやった方が良いというのは絶対でありますが、中々皆さんは景気が良くなったという感じは持てないのではないのかと思います。
この頃の好況感というのは、一般市民にはほとんど実感出来なくなっていますが、その後に施行される消費税の増税は、間違いなく我々はしんどさを実感すると思います。その時、国民の社会保障に使うのだからと納得しようとしても、あの震災復興費でさえ沖縄の道路を造ったり、市役所の改修費とかに使っちゃう官僚が決めるのだから、どう考えても我々国民の為に全てが使われるとは思えません。
いつも不思議に感じているのが、報道されている国の借金の総額であります。現在日本の借金は1000兆円近いと言われています。確かに凄い金額であり、一般の人間からみれば想像もつかない訳でありますが、問題はこの1000兆円がどのように使われたかが全く私達には解らないことです。例えばあくまで仮に、ある企業に10億円の借金があったとします。この時、お金を貸した銀行がまず何をするかというと、会社の財務内容を精査します。要は10億円が何に使われているかということであります。精査の結果、商品在庫が5億円、不動産や建物の資産が3億円、現金預金が1億円であれば、銀行が実際に債務と考えるのは1億円であり、もし年間の利益が、銀行に払う金利と返済分より多ければ、10億円もの多額の借金を抱えながらも、銀行からみれば優良会社であります。
これを考慮して日本の1000兆円という借金をみて下さい。多分、道路も橋やダム、ビル、鉄道もあるでしょう。それに色々なところに隠したヘソクリも沢山あります。海外に貸したお金も莫大です。なんせ毎月金利だけで1兆円以上といわれているのですから。これらは日本の立派な資産であります。だとすれば、我々が憂わなければならないのは、1000兆円という借金の総額ではなく、あくまでその総額から資産を引いた本当の借金なのですよ。その本当の借金の金額を知っているから外国人投資家や銀行は円を買うし、ろくすっぽ金利もつかない日本国債を買うのだと、投資銀行家も本に書いていますし、私も前から同じ考えを持っていました。
現在、日本では株が上がり、円は下落傾向です。多分マンションや家などの不動産価格も、消費税増税のからみから上がるでしょう。要は国をあげてのミニバブルを創ろうとしているのです。そうなれば、国の思惑どおりインフレになるでしょう。しかしながら、インフレというのは物の値段が上がるということであります。決して国民が望んでいることではなく、物の値段があがるのは、所得が値上がり分より増えるというのが条件であるのですが、いいですか、そのへんを、政府やマスコミに騙されないでください。今回の選挙でも解りましたが、日本人というのは基本的にお金持ちで人がいいということであります。ですから人を信用しない、本当のお金持ちは外国に逃げていますよ。私はお金持ちではないけれど、将来、海外に住んでもいいと思っています。タイとかマレーシアだったら年金でいい暮らしができます。だから円高は今ぐらいの水準がいいなと思っています。
3年半続いた、大衆薬のインターネット通信販売規制の決着がつきました。対面販売を原則とする厚生労働省令が違法とされ、規制は事実上、白紙に戻りました。消費者の体質や症状によって最適商品が異なる薬は、幅広い品ぞろえが可能なネット販売に適した商材であります。使用者の健康を損ねる可能性のある薬に対して厳しい規制があるということは理解できるのですが、それが対面販売で安全性が担保されるということが、はたして妥当であったのか、という疑問がありました。基本、国民の利便性と薬販売の規制緩和が優先される結果になった訳であります。
日本において、大衆薬の値段は外国に比べて非常に高いというのが実情であります。実際、東南アジアで買うコンタックなどの風邪薬は、5倍程の価格の開きがあって驚いた経験があります。このネットでの薬の販売は、薬の値段に大きな変化を及ぼす可能性が高いと考えています。厚労省の規制も、国民の安全性よりも多分、この薬販売業界の既得権を守ることであったのではないかと思っています。こんなことを言ってなんですが、大手のドラックストアに行っても、責任者である薬剤師さんと他の従業員との区別が、仕事からは識別できないというのが本音です。正直、副作用リスクの高い第一類の薬の販売に対し、薬剤師に義務づけられた文書説明を私はほとんど受けたことがありません。
うちの娘が薬学部に通っていて、何年かしたら薬剤師になると思うのですが、今の娘があんなに苦しんで勉強している専門的知識が、はたして今の薬を販売する場に必要なのか、考えてしまいます。ただ大衆薬を販売したいと思っても、薬剤師がいなければ薬販売には乗り出せません。そう考えてみると、やっぱり、必要で大事なライセンスでありますな。