649回_政治とお金

風薫る5月も半分が過ぎました。鴨川の河原を歩くと、ほほに当たる風が心地よいです。こうやって新緑の中、薫風を受けていると身体が若返るような気がします。この日曜日は、京都3大祭りの一つである葵祭でありました。平安時代の優雅な王朝装束をまとい京都御所から下鴨神社を経由して上賀茂神社までの工程を練り歩く様は、正に平安時代の京都にタイムスリップしたようであります。行列の際、衣装に葵の葉を飾った事から葵祭と言われると思うのですが、中々風情があり私は祇園祭や時代祭よりこの葵祭が好きです。実はこの葵祭、かなりの確率で雨に祟られていまして、今年は本当に久方ぶりに天候に恵まれた葵祭でありました。まあ、京都に移り住んで、長きに渡って暮らしていたのが、下鴨神社近くのいわゆる葵学区でありまして、ウチの娘も息子も葵小学校でお世話になっています。それもあって、地元意識から葵祭りを贔屓にする理由ですな。葵祭りが終わって月曜日に大雨が降ったのですが、良かったです。行列の途中、雨が降りますと装束の上からビニールのカッパを着るのですが、余り格好いいものとは言えませんからね。(朝から降った場合は順延となります)葵祭が終わりますと、梅雨になり、祇園祭で梅雨が明けるというのが京都の通常であります。そろそろ下鴨神社や上賀茂神社の疎水ではホタルが見られると思います。といってもこのホタルは放流しているらしいですけどね。

さて、皆さん、お変わりなくお過ごしでしょうか。

政治家と金の問題というのは、もうセットみたいなもの、昔からずっと続く醜聞ですね。理由は簡単で、政治というのが完全に商売になっているからです。全ての人がそうとは言いませんが、大半の人が政治屋、政治家であることでお金を稼いでいます。今、東京都知事の舛添要一氏の政治資金の私的流用が騒がれている訳でありますが、まあ本人は「何で俺だけが。」と思っているでしょうね。確かに殆どの政治家がやっている筈だからです。何故なら政党交付金というのは、何に使っても構わないお金です。だから、家族で温泉旅行に行こうと、回転ずしを食べに行こうと自由でありまして、これだけマスコミや国民に咎められても犯罪ではありません。あくまで政治家の良心が問われることですね。当然、多かれ少なかれ与野党を問わず殆どの政治家がやっています。まるで中小企業の社長みたいなものですな。でも中小企業の社長は自分のお金です。税金ではありませんから。エーエルは零細企業ですからそもそも接待費がジャブジャブ使える程儲かっていません。これはもう、政党交付金とか企業献金は廃止するべきでしょう。金がないなら出来ないような政治ならばやらなくてもいいでしょう。それに高い志を抱くような人だったら、政治に金は求めませんね。年間600万円位の議員歳費でいいでしょ。それでは出来ないなら出来る人から選べば良いと思います。それでもなり手は一杯います。そういう意味では、共産党というのは筋が通っていて、政党交付金も企業献金も受け取っていません。私としては、同じ政治屋どうしが与党と野党に分かれてあれこれ言っても茶番にしか思えません。多分世界中の人達は、政治屋の金の問題にうんざりしているのでしょうね。そうでなければ、あの世界で一番貧しい大統領、ホセ、ムヒカ氏が称賛されたり、社会主義者のバニー、サンダース氏がヒラリー、クリントン氏に善戦するようなことはないのでしょう。

今騒がれているオリンピック招致の為の賄賂問題ですが、これはもうオリンピック招致というのが入札制度であったということです。IOC委員会のメンバーに対して渡す金が一番多い額を提示した国が選ばれます。こう考える物凄くシンプルであります。昔、「黒い五輪」というノンフィクションが世界でベストセラーになったことがありましたが、オリンピックやサッカーワールドカップなど本来はスポーツ通して世界の平和を願うというのが本来の主旨であったのが、いつの間にか、様々な利権が大きなお金を生み出す仕組みに変化していったのです。確かに、開催を望む国々からすれば、今回のように巨額のお金を渡せば開催地になれるならいくらでも払うでしょうから、様々な利権を有する運営サイドからすれば金の成る木であります。それに何故だかIOC委員会のメンバーというのは先進国の人が少ないです。ですから金には貪欲です。日本側から賄賂を受け取ったとされるセネガル人の国際陸連の前会長ラミン・ディアクという人、相当ワルですな。今回騒がれているのが、こういう招致を決定するような有力委員にどうやってお金を渡すかということで、正式にそんなルートは無いのですから、色々な人間が関与し途中でお金を抜きます。このシンガポールのコンサルタント会社なんていうのがその典型で、実態もなにも無く、間に入った中国系のブローカーであります。表に出せませんから契約書も領収書もある筈がありません。まあ、実際に日本にオリンピック招致が決まったから、このブローカーは間違いなく相手にお金が届けたということです。日本としてはこれで一件落着、めでたしめでたしなんですが、フランスでたまたま調べていたこのラミン・ディアク氏の違う賄賂問題から日本の賄賂がばれて大騒ぎ、というのが今回の顛末であります。日本サイドでこれらの招致運動を一手に引き受けていたのが電通でありまして、もしこの招致に関する問題を全て明らかにすれば、とんでもないスキャンダルに発展するでしょう。多分高い確率でうやむやになると思います。まあ、パナマ文書と同じです。開催するからには、成功して欲しかった東京オリンピックでありますが、ここまでしてやる価値があるかどうかということです。日本では、5年前の東日本大震災の復興が完全に終わっていないうちに、熊本で大地震がおきてしまい、復興資金はいくらあっても足りない状況であります。ですからいっそのこと大きいあやが付いた東京オリンピックを返上して、2兆とも3兆円ともいわれる開催資金を復興に使ったら如何かと考えてしまします。考えてみれば、新国立競技は紆余曲折の後、聖火台がついていない設計に決定し、しかも廃案になった初めの女性設計士は謎の死をとげました。その後のオリンピックエンブレムは盗作問題で作り直しです。開催地の東京の知事は、決定時の猪瀬氏が金銭問題で辞任、そして現知事の舛添氏もヤバイ状況にあります。もし、これで近日中に辞任となると次の知事の改選時が東京オリンピックの開催中になるかもしれないということで、これはもう笑い話でありますな。こういった賄賂問題も政治資金と同様で、こういうことがまかり通るからやるのであって、厳しく取り締まることが必要です。大体、あの招致運動の際、決定権を持っている委員を立候補地の人間が、個別に食事に誘って頼んでいいなんて、普通ありえないでしょう。そりゃ、帰り際に札束が入った菓子折りを渡すというのは、万国共通の贈賄の方法ですな。金額が億単位になれば、訳の分からない口座に送金します。まあ、当然賄賂を渡したIOC委員はディアク氏一人では無い訳でありまして、一説によれば賄賂だけで20億から30億円がこのようなペーパーカンパニーを通して払われているようです。前回のオリンピック招致に於いて、日本、東京は今年の開催地であるブラジル、リオデジャネイロに敗れた訳であります。その際私達は、既に1回開催された東京でなく南米で初めてのリオデジャネイロに開催されたのは「当然でしょ」という感想であったのですが、実は裏では両国のドロドロとした駆け引きが展開され、巨額の賄賂が飛び交っていたのです。それでも、こんな贈賄なんていうのは、氷山の一角でありまして、数兆円という開催資金からみれば、様々な有力者にそれ相当なお金が流れるだろうことも寧ろ「当たり前だのクラッカー」であるのでしょう。そして、そのような表に出せない巨額のお金が、パナマ文書にあったようにケイマン諸島のようなタックスヘイブンに集まり、当然税金も払わず、裏で様々なビジネスの原資になることで、富めるものはなお一層富み、貧困層は貧困のままというのが、新自由主義の一面なのかもしれません。こういった恩恵を受けている層が日本も含めて世界をコントロールしている限り、私達の生活は変わらないのかもしれませんね。

週柏name.GIF

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

コメントする