週刊柏﨑 第298回_知事とマンゴー
今週に入り、梅雨らしいといえば梅雨らしい天気の日が続いています。東北で梅雨入りになりましたが、沖縄では既に梅雨明けになっています。
政府から発表される様々な景気指数は、やれ底を打っただの、穏やかに回復しているとか、日本の経済はもう大丈夫的な話なのですが、私の周りはちっとも良くなっているようには思えません。ここに来て、原油価格も半年前に比べると倍以上になっているし、他の商品価格も同様に値を上げているのです。まあ投機的なマネーが原因と言えば原因なのですが、これだけ未曾有の大不況が続いている中、物の値段が上がるというのは辛いです。皆様お変わりございませんか?
相変わらず日本の政治は混迷を極めています。それにしても驚いたのは先週の日曜日に行われた横須賀市長選です。自、公の与党だけでなく、いまや飛ぶ鳥を落とす勢いの民主までが相乗りで支援し、お膝元ということであの小泉元総理が4回も応援にかけつけた現職候補が無所属の若い新人に負けてしまったのです。これはもはや国民が政党政治というものに対し、全く期待していないことの表れであるのです。自公であろうと民主や他の野党であろうと、政党という集団が国政を司るなら、それに対し国民が限界を感じている、要するにどんなマニフェストをかかげようと実現しないと思っているのです。 東国原氏の自民党による取り込みはまさしく、そういった風を自民党の一部の人達が感じ取っているからに他ならないのです。
それにしても、その東国原氏に関してはなんか底が見えてしまったという感がします。「国を変えようという大きな目標に対し、知事の権限は微々たるものだった。自分はその限界を越えよういう事だ」と本当に聞こえが良いことを言っていますが、果たして彼が言うように知事というのは名前だけで何の力も無い役職であるのでしょうか?
前長野県知事、田中康夫氏のコラムでは、あの石原慎太郎氏でさえ、知事職を「かくも面白い仕事は無い」と言っているそうであるし、田中氏自らも知事の権限は、県内の人事、予算、条例を行使出来る極めて強力なものと述べています。まあ確かに東京で言えばあの大赤字の銀行をつくったりしても責任を取らなくてもいいのですから・・・。 どこかで聞いた話なんですが、元々、東国原氏は国会議員になるのが目標であって、宮崎県知事には彼自身話題になればという感じで立候補したというのです。それが今回の横須賀市長選ではないですが、前知事の汚職問題でもう政党政治は信用出来んと、無所属の東国原氏が当選してしまったのです。この当選に一番びっくりしたのが多分本人であったろうというのです。
でも元々地方分権といったって彼は国会議員になりたいのです。彼は前回の参議院選にも結構色気があったように見られました。彼が掲げた知事としてのマニフェストの達成率は80%ということです。80%もの達成率を感じながらも知事として県政に対して限界を感じたということは少し矛盾するのではないでしょうか。
まあ確かに任期中、何をしているのかが良く分からない国会議員と違って、知事というのは確実に成績を公に発表されてしまうのです。私たち国民は彼のマンゴーや地鶏などの宮崎物産の販売促進や、彼の人気による地方観光などのパフォーマンスばかりに目をとらわれ、知事としての本当の仕事、即ち、財政再建や、入札改革、公務員改革、そして福祉、医療、教育の充実といったことに対する結果を知らないのです。そしてそれが余り芳しい結果が出ないとするならば、この政党政治に対する不信感がマックス迄来ている今こそ、彼が一番高く売れる時と考えても少しも不思議ではありません。
しかしながら、彼が自民に入るという選択は彼の賞味期限を考えると絶対してはならないものであると思います。なぜなら、今の無党派、要するに政党を信じていない国民は5割近く存在するのです。その5割の過半数の支持を集めることが出来れば、時間はかかるかも知れませんが、もう沈没間際の自民でトップをとるよりもっと大きな歴史に名を残すようなことが出来るのではないかと思います。 今の官僚政治や役人行政の、その本丸ともいえる自民党の中で、新しい自民党を目指すなんて、遊びまくって何の勉強もしないうちの息子が東大の医学部を目指すようなものですよ。
今日、朝、テレビで麻生さんや古賀さんとの閣僚にするという約束を反故にされて、麻生さんに完全に無視された結果になった東国原氏は、さかんに私が自民党に入れば自民は勝てる的な発言をしておられるように見えましたが、これははっきり言って興ざめです。それにしても東国原氏、もし自民から衆院選に立候補したらあの宮崎産の商品にプリントしてあるあれだけ沢山の彼の似顔絵、多分問題になるんじゃないかなあ。