週刊柏﨑 第253回_医療の現実に着いて
朝・夕は何だか随分過ごしやすくなってきていますが、日中はまだまだとても暑い日が続いています。
熱闘が続いていた甲子園も終わりました。最後は特待などのエリート球児ばかりを集めた高校同士の決勝戦となりましたが、準決勝まで残った公立の浦添商業の健闘が印象的な第55回記念大会でありました。後は日程的に残りもわずかになった、北京オリンピックで夏休みも終わりです。
皆様元気でお過ごしでしょうか。
それにしても、女子ソフトボールの決勝は久々に興奮してしまいました。
エースの上野由岐子さん、決勝前日に2試合(両方とも延長戦です)を完投して300球以上投げて、決勝も完投。合計413球をひとりで投げ抜きました。宿敵というか、いつもてんで歯の立たなかったアメリカに見事に勝利して、金メダル本当におめでとうございます。この上野さん、多分日本のソフトボール史上No.1のピッチャーで、何でも120キロのボールを投げるそうです。(野球でいえば、日本最速のクルーン投手の160キロより体感速度は速いそうです。)
年俸10億円以上のメジャーリーグで活躍する松坂や野茂よりもすごい選手かも知れません。しかしこれだけの選手であるのに、悲しいかなアマチュア。松坂や野茂と比べて、年収などの点では、大きな差があるようです。何だか残念な気がしてやみません。
何でも野球と同様にソフトボールも、次回ロンドンオリンピックでは正式競技から外れるそうですが、まだまだ若い上野さん(26歳)。日本の黄金時代をつくって欲しいものです。
さて先日、福島県の公立病院の出産の際の帝王切開手術事故で、妊婦さんを死亡させてしまった医師への裁判がありました。結果は無罪だった訳です。
被害者の身内の方には心からお悔やみ申し上げますが、一般的に世の中の医師に対する要求というものが、何だか近年どんどん医学から逸脱してきているような気がします。
私が医者だとしても、治して当たり前という感覚にはついていけないと思います。それが、多分今のネット社会によって、意見やクレームがどんどん増幅していって、何でもかんでも訴訟状態になってしまっては、現場に出ようとする医師がどんどん少なくなってしまうと危惧するのです。
真っ当な処理中に起こした医者の手違いであったり、もっと極端に言えば、数秒内に右か左の線を切らなくてはならない様な選択で、それが上手くいかなかった時に、医療現場に全てを押し付けるのは問題だと思うのです。業務上過失致死ではありますが、そもそも病院で逮捕して手錠することが果たして適切であったか、司法も考慮すべきだったのではないでしょうか。薬害問題だって、人為的だったフィブリノゲンは保障になっているけど、タミフルなんかは、あくまでも考えられる副作用ってことで何のお咎めもないのですから。
うちの家内の実家のある九州地方都市では、産婦人科がどんどん減って、1軒になってしまったそうです。
何年か前に家内の家の側に、新しい産婦人科が出来たのですが、やはり妊婦さんの事故で、先生が自殺をしてしまったというのです。出生率ばかりがクローズアップされていますが、こういった医療現場の問題をもっと改善しないと、現場には医者が全然居なくて、病院がどんどん閉鎖という問題が増えていくと思います。